「3回目のコロナワクチン」は必要か、米医療分野で議論勃発

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新型コロナウイルスのワクチン接種が進む米国では、「3回目の接種」の必要性が指摘され始めている。

米食品医薬品局(FDA)の医薬品評価研究センター(CDER)のピーター・マークス博士は、5月18日、ファイザーとバイオンテック、モデルナの3社のワクチンを完全に接種した人が、免疫を維持するために、1年以内に「ブースター注射」が必要になる可能性があると述べた。しかし、他の専門家は早ければ6ヶ月後にブースター注射が必要になると述べている。

ファイザーのアルバート・ブーラCEOは先週、同社がバイオンテック社と共同開発したワクチンの2回目の接種から6〜12ヶ月以内にブースター注射が必要になるだろうと述べた。

バイオンテックのウグル・シャヒンCEOは先月、2回目のワクチン接種後の約8カ月で、体内のコロナウイルスの抗体反応が低下し、これが「ブースト」の理想的な時期になると述べていた。

ジョンソン・エンド・ジョンソンのアレックス・ゴースキーCEOは今年2月、新たな変異株に対抗するためには、インフルエンザの予防接種のように、年に1回、コロナウイルスワクチンを接種する必要があるかもしれないと述べていた。

しかし、一般人への3回目の接種が必要だと判断するのはまだ早いと指摘する声もあがっている。元CDC長官のトム・フリーデン博士は先週、ロイターの取材に、「現時点では、3回目の接種の必要性は明らかになっておらず、すべての人に年1回のブーストが必要だと説くのは、まったく不適切なことだ」と述べていた。

「ブースター注射が必要かどうか、いつ行うべきかを最終的に決めるのは、そこから金銭的利益を得る企業のCEOではなく、公衆衛生の専門家であるべきだ」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の感染症学者のモニカ・ガンジー博士は、ロイターの取材に話した。

米国を代表する感染症の専門家のアンソニー・ファウチ博士は先月、3回目の接種の必要性については、夏の終わりか秋の初めになれば、データに基づいたより良い判断ができるようになるだろうと述べた。

FDAのマークス博士は18日、「ブースター注射が必要となる時期が、1年後になるのであれば、良い話だ。しかし、まだ分からないのだ。これは物事を進めながら、解決しなければならない問題だ」と述べた。

ここで気になるのは、追加のワクチンが無料で提供されるのか、どのように配布されるかだが、CDC(米疾病予防管理センター)のロッシェル・ワレンスキー所長は先週、米国政府は「万が一に備えて計画を立てている」と述べた。

CDCのデータによると、アメリカ人の約48%が少なくとも1回のワクチン接種を受けており、3人に1人以上が完全な予防接種を受けている。FDAが先週、若者層にも接種対象を拡大したことで、米国では12歳以上のすべての国民がワクチン接種を受けることができる。

編集=上田裕資

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