ビジネス

2021.05.28 07:00

ザッカーバーグを見出したスーパー投資家の「成功者の見抜き方」


──15年にスティーブン・ホーキング博士と立ち上げた「ブレイクスルー・リッスン」(地球外生命体を探査する史上最大規模の計画)への投資額は?

10年間で1億ドルです。この資金で、世界最大の電波望遠鏡を借り上げています。電磁波などの光子は、宇宙との交信手段として最も効果的かつ低コスト。もし地球外文明が存在しているならば、その文明においても物理の法則は同じ。電波を利用するのには科学的根拠があるのです。


2015年、英国の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士と地球外知的生命体探査プロジェクト「ブレイクスルー・リッスン」を発表。

──では「ブレイクスルー・スターショット」は?

地球から最も近い恒星系に超小型の宇宙船を送り込む計画です。既存のロケット燃料では7万5000年かかる。これでは話にならないので、構想と技術開発に1億ドルを出資しました。現状のコストを100分の1に下げられれば、史上初の無人の恒星間航行は数十年先にも実現可能です。

──投資としてはリスクが高すぎないか?

成果が得られる可能性は1%もないので、極めてハイリスクな投資といえるでしょう。しかし、どれほど成功する見込みが低くても、大きな意義が潜在するプロジェクトならば、資金を差し出す人や組織が現れて然るべきだと私は思うのです。


2016年、ホーキング博士と恒星間航行プロジェクト「ブレイクスルー・スターショット」を発表。4.37光年離れたアルファ・ケンタウリを目指す。


ユーリ・ミルナー◎1961年、モスクワ生まれ。モスクワ大学卒業後、科学アカデミー物理学研究所勤務。90年渡米、ペンシルベニア大学ウォートン校入学。世界銀行勤務を経て95年に帰国。2005年、投資ファンドDST設立。総資産48億ドルでビリオネアランキング589位、ロシア長者番付31位。シリコンバレー在住、国籍はロシアとイスラエル。


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文=ニコライ・ウスコフ 翻訳=石橋むつみ

この記事は 「Forbes JAPAN No.083 2021年7月号(2021/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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