米国人のワクチン接種率向上は、約1100万人を雇用する約1兆5000億ドル(約160兆円)規模の米旅行業界を復活させる上で鍵となる。これまでの世論調査では、米国人がワクチンを接種するまで旅行を控えていることが一貫して示されている。また重要な点として、他の旅行者にもワクチンを接種してほしいと思う人も多かった。
仏旅行保険会社アリアンツ・パートナーズが米国で行ったアンケート調査では、67%がワクチンを受けることでまた安心して旅ができるようになると回答。また、家交換型の旅行仲介サービスを運営する米企業ホームエクスチェンジ(HomeExchange)の委託により英世論調査会社ユーガブ(YouGov)が実施した調査では、回答者の64%の人が、旅は全員がワクチン接種済みのグループとしたいと答えた。
そしてもちろん、これはクルーズ業界の再開に向けたインセンティブともなる。米疾病対策センター(CDC)の新たな指針では、乗客の95%がワクチン接種を完了しているとの条件で、米国でのクルーズ船運航再開が認められている。
クルーズ愛好家らは、この要件に前向きだ。CDCの新指針発表前にクルーズ情報サイト「クルーズ・クリティック」が行った読者アンケートでは、CDCが今夏以降に米国発のクルーズ船運航を許可すれば、今年クルーズを予約するとの回答が64%に上った。それ以前に行われた読者調査では、ワクチン接種が要件になればまたクルーズ船を利用すると答えた回答者は84%だった。
迅速にワクチン接種が進めば進むほど、観光業界もより早く復活するだろう。モーニング・コンサルトのアナリストらは、「消費者信頼感を高めるという点においては今後、ワクチンを接種するかどうかを決めていない成人が最大の機会点となる」と指摘している。