「横浜マリノス」が一般社団法人を設立して打ち出す、スポーツビジネスの新機軸とは?


宮本氏が「まだまだ試行錯誤の途中」と語る、この課題解決型スポーツビジネスモデル。具体的にどんな施策を打っていくのかが気になるところだ。
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現時点では、JT(日本たばこ産業株式会社)が取り組む社会貢献活動「Rethink PROJECT」や電気通信事業を展開する株式会社フォンテーン、株式会社ECCが運営するECC外語学院や衛星通信事業でお馴染みのスカパーJSAT株式会社などがパートナーとして公表されている。こうした企業とどのような取り組みを行っていくのだろうか。

「パートナー契約を結ばせていただいた企業様は、それぞれに強みや特性があります。そこに対して、我々はスポーツという切り口で、地域や子どもたちへの接点という強みを生かした提案をさせていただいています。スポーツと異ジャンルのテーマを掛け合わせた新しい取り組みを世に問いかけていく、実証実験に近いイメージかもしれません」(宮本氏)


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その中のひとつが、サステナブルグローバル人財育成パートナーとして提携したECC外語学院との取り組みだ。

「F・マリノススポーツクラブが運営する横浜F・マリノスアカデミーの『世界基準によるプロサッカー選手の育成』という理念と、ECC様が建学から掲げる『外国語教授を通じて、近代的なセンスと国際的な感覚を持った社会に実際的に活躍できる有用な人材を育成する』いう理念が一致し、提携に至りました。オンライン英語教室と横浜F・マリノスアカデミーのサッカースクールを組み合わせた学習コースを新たに創設し、オンラインとリアルのスクールをいかにスムーズに接続させられるかという実験にトライしています。

子どもにとっては大好きなサッカーを学びながら、英語の勉強もできてしまうとあって一石二鳥。子どもの勉強嫌いが克服できたと親御さんからの評判も上々です。今後はサッカー用語を英語で学ぶスペシャルレッスンなどを開校していき、海外のサッカー中継を子どもたちが生で観戦できるような教育機会を提供していきたいと考えています」(宮本氏)

ICTサービスが普及した現代の教育現場では、生徒ひとりに一台のパソコンが支給され、オンラインを通した学習に励むことがスタンダードになってきている。そこにF・マリノススポーツクラブのもつ「スポーツ領域における絶対的な信頼」と「地域の子どもたちからの憧れ」という強みを掛け合わせ、子どもたちの可能性をよりいっそう広げていこうとする取り組みは、まさしく宮本氏たちの目指す課題解決型スポーツビジネスモデルに他ならないだろう。

サッカーというコンテンツを活用し、「サッカー×○○」という掛け算の思考で事業を展開しようとする宮本氏たちの試みは、スポーツの可能性を押し広げ、スポーツのもつ価値をあらためて考え直させてくれる。もちろん、明確なモデルケースのない、イノベーティブな挑戦だが、F・マリノススポーツクラブが先陣を切ってその代表的な成功事例を提示してくれることを期待したい。

連載:SOCIAL CHANGE with SPORTS

text by Jun Takayanagi(パラサポWEB)|photo by 一般社団法人 F・マリノススポーツクラブ

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