マイナンバーカード交付率No.1、加賀市はなぜ日本初e-Residencyの提供を決めたのか


実は、加賀市はマイナンバーカードの交付率が65.1%、申請率76.5%(令和3年4月30日現在)と、全国の市区でNo1の普及率を誇り、マイナンバーカードを活用したデジタルサービスの提供を自治体としてもいち早く取り組んできた。今回の施策もその強みを存分に活かす。

電子上の加賀市民になった人たちにはどんな恩恵があるのか。

e-加賀市民たちは、滞在日数に応じ、加賀市往来時の宿泊費の支援を受けられたり、市民のみを対象にしていたセミオンデマンドタクシーが利用できる。また、市の施設であるコワーキングスペースや会議室も無償で借りられるという。

これらの画期的な取り組みの背景には、市長のリーダーシップがある。

加賀市長である宮元陸は、就任当時からテクノロジー導入を推進してきた変革者だ。

2018年には「ブロックチェーン都市」を掲げ、子どもたちへのプログラミング教育に関しては、今年の全国小中学校での必修化を3年も前倒し、日本で最も早く取り組みを開始していた。

また、6年前からは、米ニューメキシコにあるロボット教育団体「ロボレーブ」とともにロボットの国際大会も開催している。



かつて、エストニアがe-Residency制度によって世界の高度人材を集めたように、加賀市もまた、e-加賀市民制度によって自らの生き残りのためにイノベーション人材を引きつけ、テクノロジーの力でその市民たちの良質のQOLを提供する。

加賀市の新しい挑戦は、全国の消滅可能性都市896の市区町村に、ニューノーマル時代の新たな地方創生モデルを提示することになるだろう。

文=谷本有香

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