ロシア軍特殊部隊も実践する「逆境に負けない」心と思考の作り方(後編)


5. 恐怖心の正体を「知る」



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ゆっくりやることで、普段の落ち着きを取り戻したら、ストレスの原因となっている恐怖心がなんなのかをじっくりと観察する。

戦場で身の安全を確保できるのは、洞察力があり、注意深い人だという。そのため、システマでは「知る=観察」というプロセスも非常に大事にしている。

「人は知らないことに恐怖心を抱くものです。そして、恐怖心は人の視野を狭め、さらなる恐怖心を植え付けるという負のスパイラルを巻き起こします。パニックになってしまい、どうしていいかわからないという人は、この悪循環に陥ってしまっていることがほとんどです。

そのため、まずは取り巻く現実を受け入れ、自分が何に恐れているか、じっくり観察しましょう。たとえば、コロナウイルスへの感染を恐れているなら、確実なソース元の文献をあたり、正確に理解することでその対策が見えてくるはずです。仕事がなくなってしまい困っているなら、職を探せないか、または自分自身で仕事をつくれないか、などできることを徹底的に調べてみることです」(北川氏)

6. 腕立てやウォーキングなど、体を動かす



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最後は、システマ4原則のひとつ「動き続ける」にもつながる体を動かすという行為。その目的は心身の停滞を防ぐことだが、思考や感情といった目に見えないものは動いているかを確かめようもない。そのため、システマでは体を動かすことで心に働きかける方法をとっている。

「心が凝り固まっているときには、体の動きも鈍くなっています。腕立てでも、ウォーキングでも、何でもいいから体を動かしてください。すると、気分の切り替えができるようになり、焦りなどの負の感情がなくなっていくことでしょう」(北川氏)

もし、今現在、心身の不調に悩む人がいたら、ぜひこの6つのタスクを順に実践してみてほしい。きっと、驚くべき効果を実感できるはずだ。

創始者のミカエル・リャブコは、学ぶべきことの多さから、システマを「分厚い本」にたとえることがあるという。今回は、ポイントだけを抽出してわかりやすく解説してもらったが、それだけでも目から鱗の発見がたくさんあった。

普段、何気なくしている呼吸や姿勢のあり方も、ロシアの武術、システマの手にかかれば、混沌とした今の時代を力強く生き抜く、立派な知恵へと変わる。

当たり前のことが当たり前でなくなった今だからこそ、こうしたスポーツ(武術)の知恵を普段の生活に活用してみるのはいかがだろうか。


北川貴英◎システマ東京代表。公認システマインストラクター。2008年にシステマの創始者、ミカエル・リャブコ氏より公認システマインストラクターに認定される。首都圏を中心に年間約400コマを越すクラスを受け持つほか、防衛大学校をはじめとする公的機関でも指導。マンガ『アンダーニンジャ』やNHKドラマ『ディア・ペイシェント』では、技術指導を担当した。著書に『システマ入門』(BABジャパン)、『システマ・フットワーク』(日貿出版社)、『逆境に強い心のつくり方(PHP)』など多数。著作「人生は楽しいかい?」がアマゾンAudible総合で1位となる。

text by Jun Takayanagi(パラサポWEB)

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