ロシア軍特殊部隊も実践する「逆境に負けない」心と思考の作り方(後編)

システマ東京代表で公認システマインストラクターの北川貴英(photo by Daisuke Taniguchi)


コロナで一変した社会を生き抜く、システマ的処方箋とは?


新型コロナウイルスにより失業や生活困窮といった問題も生まれ、いっそう生きづらさの増した現代社会。助言を求めると、とにかく生き抜くための “システマ的処方箋” について順序立てて提示してくれた。
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1.「生き延びる」ことを最優先に考える



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前編でもお伝えしたように、システマが最優先するのが「生き残る」こと。それにはリラックスを心がけ、心身ともに健康であることが大切だ。

「まずはサバイブするということです。コロナ禍で女性の自殺が増えているというニュースもありましたが、直接病気にかからなくても、失業や収入減など、生死に関わるリスクはたくさんあります。
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そうしたときに、システマでは勝ち負けではなく、『サバイブ』を最優先に考えます。例え一時的に良い結果が出ても、それで力尽きてしまっては生き延びることはできません。人生を超長期戦と考え、常に3割程度の余力を残すのがポイントです」(北川氏)

2. 呼吸を観察し、「ブリージング」をする



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次にすべきは、呼吸の観察とブリージング。心の不調によって乱れやすい呼吸を整えることで、リラックス状態をつくり、普段どおりの力を取り戻す。

「人はストレスにさらされ、緊張状態にあると、呼吸が浅くなったり、時々呼吸を止めてしまうことすらあります。自分の呼吸を観察して、どのような状態にあるかを把握しましょう。もし、普段と違うと感じたら、前編でご紹介したブリージングを行います。それだけで心身がリセットされ、これまで思いつかなかったような打開策が見えてくることもあります」(北川氏)

3. 心と体に変化が生まれたことを確認する



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呼吸には、心身の調子を整える自律神経系のシステムに働きかける力がある。ブリージングにより、コンディションが整ったかどうかを確かめることが大切だ。

「自律神経系には、活動的な働きをもつ交感神経とリラックスする働きをもつ副交感神経があり、この2つがバランスよく切り替わるのが本来の人間の姿です。しかし、ストレスにさらされ、緊張状態が続くと交感神経のスイッチが入ったままになり、体を休めることができません。

ブリージングの呼気には副交感神経のスイッチを入れる効果があります。心が静まり、体が癒されたどうかを自身で意識的に確認してみてください」(北川氏)

4. いつもよりも時間をかけて、「ゆっくり」やる



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「ゆっくり」というのもシステマの大事な行動原理だ。その理由は、それだけで多くの気づきを得ることができるから。大切なことを見落とす心配もなくなる。

「人の精神状態は、テンポにわかりやすく現れます。脈拍だったり、話す速度だったり、呼吸のスピードだったり。緊張するとそれがだんだん速くなってくるものです。

ゆっくりするというのは、こうしたテンポアップを整えるための行動です。普通に感じるかもしれませんが、ストレス下にある人は、その普通ができていないのです。

自分が直面している危機も、ゆっくり、冷静に分析すれば、解決策が生まれるということも多々あります」(北川氏)
次ページ > 5. 恐怖心の正体を「知る」

text by Jun Takayanagi(パラサポWEB)

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