運動不足だと1日で2年分の筋肉が落ちる? 自粛生活での行動が分かれ道

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コロナ禍でもできる効果的な運動とは


体を動かさないことが重大なリスクに繋がるとはいえ、コロナ禍では自由に体を動かすことができない。では、せめて近所を歩いてみてはどうだろうと考えるが、普通の散歩程度では、筋肉や脳を鍛える効果はほとんど期待できないそうだ。
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「人間の歩行は運動の中でもかなり効率がいいんです。効率がいいということは、大してエネルギーや筋肉を使っていないということです。ですから、普通に歩くだけでは筋肉のトレーニングにはなりません」(川上教授)

では、どんな運動が筋肉のトレーニングになるかというと、誰でも簡単にできるのが段差を歩くことや早歩きだ。

たとえば自宅マンションや駅などでは、エレベーターやエスカレーターではなく階段を利用する。買い物にいくとき、途中で数分だけでも大股で早歩きをする。それだけで、太ももの筋肉の活動量がぐっと上がる。
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さらにこうした運動は日頃から運動をしている人よりも、運動に慣れていない人の方が効果が大きいと川上教授は言う。それは、脳に運動の引き出しがない分、効率のいい動きができないため、また、筋肉の量が少なくなってしまっているため、より大きな負荷が筋肉にかかるからだというから、なんとも皮肉な話だ。

運動の強度は「気持ちいい」と「しんどい」の間くらい。1日おきでも効果はあるそうだ。

さらに、コロナ禍ではできるだけ外を出歩きたくないという人のために川上教授が家の中で運動を習慣化するコツを教えてくれた。

「たとえば、靴をはくときやトイレで用を足すときなどに、ついでにスクワット運動を3回するだけでも違います。毎日必ずやることに運動を組み込めば、習慣化することができます。短時間であっても、強度が少し高めの運動を累積することで、筋力や持久力を向上させることが可能なんです」(川上教授)

現在、世界中の国々がコロナと戦っている。いつかワクチンが行きわたり、治療薬が開発されて、この戦いも終わる日がくるだろう。

しかしせっかくウイルスとの戦いに勝っても、今度は運動不足によって寝たきりの人が増えてしまう可能性があるのだ。毎日30分などと張り切る必要はない、トイレで毎回3回のスクワット、買い物のときの大股早歩きが、あなたの未来を明るいものにしてくれるかもしれない。

明日からと言わず今日から、運動を習慣化してみてはいかがだろうか。


川上泰雄◎早稲田大学スポーツ科学学術院(スポーツ科学部・大学院スポーツ科学研究科)教授。1988年、東京大学卒業後、同大学院修了。東京大学教養学部助手、同大学大学院生命環境科学系助教授、早稲田大学スポーツ科学部助教授を経て、2005年より現職。2017年から早稲田大学重点領域研究機構ヒューマンパフォーマンス研究所所長、2020年に早稲田大学総合研究機構長に就任。人間の身体の形状と機能の関連性について、生体計測を中心とした研究している。またiPhoneアプリ「メタボウォッチ」(無料)を開発し、日本人の生活習慣と体形、認知機能の関係を探る研究も行っている。

text by Kaori Hamanaka(パラサポWEB)

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