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2021.05.31 16:00

AIテクノロジーとビジネスを知る “ソリューションデザイナ”が全産業の姿を変える

Laboro.AI 創業者・代表取締役CEO 椎橋徹夫

進まない日本企業のDXの現場で真に必要な人材、それがLaboro.AIの提唱する“ソリューションデザイナ”だ。
AIテクノロジーとビジネスのどちらもインクルーズする彼らが次代のエコシステムの鍵となる理由を、創業者の椎橋徹夫に聞いた。


なぜ国内企業のDXは進まないのか


世界でデジタル覇権が争われているなか、出遅れた日本。いまだDX推進の段階で苦しんでいる国内企業に対して、AI開発とビジネスコンサルティングを包括した事業を展開しているのがLaboro.AIである。

創業者・代表取締役CEOの椎橋徹夫は、思うようにDXが進まない国内企業の問題について、こう指摘する。

「DXとは企業を変革させることです。しかし既存事業が強固なほど、変わることは怖い。その恐れを乗り越えるために必要なのは“変わらない部分”の見極めです。それが企業のパーパスなのです」

企業の存在意義に立ち返り、パーパスを明確に捉えれば、テクノロジーを使って“変えてもよい部分”が浮かび上がってくると、椎橋は指摘する。

そのときに必要になるのが、パーパスを自分ゴト化でき、テクノロジーを熟知し、ビジネスデザインに秀でた人材だ。ビジネスコンサルティング能力のみでは、技術面の経験値が乏しいことから、十分なビジネスデザインができず、企業のDXを完璧に実現することは難しいのだという。

コンサルタントのNEXTキャリア、ソリューションデザイナ


その能力をもつ人材としてLaboro.AIが提唱するのが、ソリューションデザイナという職種だ。ニューノーマルのキャリアとして目指すべき人材だと椎橋は語る。

「彼らは、データをもとにAIで何をどこまでできるかを把握しています。必要なデータを見極める能力をもち、アルゴリズムの最先端も限界も正確に掴んでいる人物なのです」

そしてAI技術による効果と、ビジネスとしての成果をリンクして肌感覚で理解できることが重要だという。

「運転に例えれば、車幅感覚のようなものがテクノロジーの世界でもあるのです。車幅を数字で覚えていても、実際の運転でその通りハンドルを切れるわけではありません。実践知は実践なくして得られない。それはビジネスの現場でも同じなのです」


“10年先の未来をつくる、そのためのキャリアを歩むほうが人はワクワクできる。”

テクノロジーだけでも、ビジネスだけでも満足できない


椎橋自身、米国州立テキサス大学理学部を卒業し、東京大学のAI研究の第一人者・松尾豊教授の研究室にも参画したテクノロジー/アカデミック・セントリックな人間でありながら、名門ボストン コンサルティンググループ(BCG)で、当時の最年少プリンシパルに昇進したビジネス・セントリックな人物でもある。まさに両極を知る、ベン図の重なりを地で行く人物なのだ。

「学生時代は数学・物理を専攻し、社会に影響を与えるいちばん難しくいちばん価値のある問題を解きたいと思っていました。しかし数学・物理では直接的に社会にエフェクトを与えるのは難しいと思うようになりました」

そうして難題を求めてたどり着いたのが、複雑な社会・経済の問題だ。椎橋はそれらの問題を肌で感じるためにBCGに飛び込み7年間在籍することとなる。

「ところがコンサルティングファームという性質上、テクノロジーを言葉で語ることはできても、直接扱うことはない。そのため、クライアントのイノベーションを生み出しているという実感が、どうしても感じられなかったのです」

そして東京大学の松尾研究室に所属し、最先端技術を追究し、産学連携で企業に対してのアプローチも可能となったが、今度は研究上での精度追究を主目的とするアカデミアと、企業を変革することとの方向性の違いを実感することとなる。

つぎに東大発のベンチャーでAI技術提供を手がけるが、あくまでアルゴリズムのサプライヤーという存在であり、改革にまでは踏み込めない。

「変革パートナーとしての立場で企業のイノベーション創出を支援したい」という思いから、彼はLaboro.AIの創業を決めた。

大手メーカーを変えたソリューションデザイナの視点


ソリューションデザイナが本領発揮する瞬間を、椎橋はある大手メーカーの事例で解説してくれた。

「一般家庭向け商品を販売していたその企業は、中⻑期経営計画に“グローバルトップの売上達成”を掲げていました。しかしそれでは社会に対する存在価値が示せていない。そこで彼らは“生活課題の解決”という、より本質的なパーパスを掲げることで、必ずしも現事業に縛られる必要はないことに気づいたのです」

こうしたパーパスドリブンな企業でこそ、ソリューションデザイナの役割が生きる。AIテックとビジネスをつなぐ肌感覚でデザインされた変革プランはこうだ。

「AIを用いて、ユーザーが言葉に表せない潜在的なニーズを探索するロジックを検討し、より直感的な好みに沿った商品提案を行うレコメンドソリューションを開発しました。それは使う喜び、楽しさを向上させるだけではなく、新たな市場をつくり出す第一歩となるものなのです」

ソリューションデザイナこそ未来経済隆盛の鍵を握る


来るべき新たなるエコシステムのなかで、彼らはどのような位置を占めるのか。

「エコシステムには、必ずキーストーン種(少数だが大きな影響を与える種)が存在します。ソリューションデザイナは、未来の社会におけるキーストーン種になるでしょう」

彼らが協業するのは企業のリーダーシップ・レイヤー。企業の経営層とともに、リーディングカンパニーのコアをつくり、産業構造の変革までも手がけるソリューションデザイナ。そのやりがいを、椎橋はこう示す。

「一生を懸けて仕事を選ぶ、そう考えたときに、本当にいまのキャリアラダーに甘んじてよいと思えるでしょうか。それよりも産業を自らの手でつくり出すプレイヤーになるほうが魅力的ではないでしょうか。そしてこのおそらく最高に難しい問題に挑む楽しさこそ、いちばんの報酬になるのだと思います」

Laboro.AI
https://laboro.ai/



椎橋徹夫(しいはし・てつお)◎米国州立テキサス大学 理学部卒。2008年にボストン コンサルティンググループに参画、14年、当時最年少でプリンシパルにまで上り詰める。東大発AI系のスタートアップ企業を経て、16年にLaboro.AIを創業。代表取締役CEOに就任。

Promoted by Laboro.AI / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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