──物件を建てる場所はどのように選んでいるのでしょうか。いい土地の定義や条件は?
濱渦:軽井沢やニセコのような「観光の超一等地」ではなく、まだその土地の良さが知られ尽くしていない所を探しています。これがめちゃくちゃ大変なんですけど、宝探しのようで、実はいちばん燃えますね(笑)。
その場所には、観光地としての魅力がなくても構わない。何もないからこそ、絶景に出会えることもありますから。
「何もないこと」って、ネガティブに捉えられがちですが、僕らは何もないところにこそ価値があると思っているんです。そういう土地に、新たな価値を見出していくのも、僕らの仕事の醍醐味です。
広々としたリビングスペース。サウナ室もある(那須の物件イメージ)
どう探すかという点では、TwitterのDMによる情報提供が意外と多いんですよ。「こんないい土地があります」とか「おじいちゃんの使っていない土地が」なんていうご相談をいただいたら、スタッフの誰かが、ドローンを担いで実際に出かけます。僕自身も週末に見に行ったりしますよ。ドローンで撮った動画をみんなにSlackで送ったりして。それも楽しいです。
ただ、あくまで僕らの目的は、世界中を移動しやすいプラットフォームをつくることなので、自然がいっぱいの場所にだけこだわっているわけではありません。いろいろな土地にNOT A HOTELがあって、複数を相互に利用していくことで、「生活しているだけで楽しい、幸せだ」と思えるようなサービスをつくっていくことが重要だと思っています。
ラボ制度によってレバレッジの効く組織に
──「NOT A HOTEL」というプラットフォームを、ごく少数のメンバーで実現されようとしていると伺いました。濱渦さんは、とても丁寧な組織づくりをされている印象があります。
濱渦:それはZOZOでの経験が大きいですね。僕が「みんなが楽しくないと意味がない」と考えているのは、前澤さんの影響かもしれません。僕はストーリーがない組織やサービスってつくる意味がないと思っているんですよ。逆に誰にでも伝わるストーリーがつくれたら、今後いくらでも広がっていくはずです。だからビジョンやストーリーは考え抜いています。
──UX設計はどのようにされているのでしょうか?
井上雅意さん(以下、井上):僕はUX全般、ユーザー体験の設計とそれに必要なソフトウェアをつくる役割を担っています。UXに関しては、先ほど濱渦がお話したスマートホームのような体験はもちろん、住む上でいろいろなサービスを受けられるようにするつもりです。ホテルとしても機能するので、運営側とコンタクトできるようなチャットツールなどもつくります。
執行役員CXOであり、システムデザインを担当する井上雅意さん