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濱渦伸次さん(左)と井上雅意さん(右) 撮影=小田駿一

好きな時にホテルとして貸し出せる住宅──「NOT A HOTEL」が、この夏いよいよ物件のオンライン販売を開始する。

NOT A HOTELは、専用アプリで、ホテル運用への切り替えが可能な「ホテル兼住宅」。建築前のパース段階でオーナーを募り、販売の見通しが立ったら着工するスタイルだ。現在、国内7箇所に開業する予定で準備を進めており、1つのホテルあたりの部屋数(住宅数)は最大10室、スタッフは2、3人での運営を目指す。

コロナ禍によって、住宅やオフィス、ホテルの境界線が曖昧になりつつあるいま、「その曖昧な部分にこそ可能性を感じた」と語るのは、代表を務める濱渦伸次さんだ。

同名の会社を立ち上げたのは2020年4月。ZOZOに売却したアラタナで、アパレル企業向けECサービスを提供してきた濱渦氏は、元ZOZO代表・前澤友作さんの「好きなことをやったら?」という言葉をきっかけに2度目の起業に踏み切った。

「ただ所有するだけだった家」と、「ただ借りるだけだったホテル」──。その境界線をとりはらったNOT A HOTELが目指す新しい暮らしとは、いったいどのようなものなのか。どんなカスタマーエクスペリエンスが期待できるのか。

濱渦さんと、執行役員CXOでありシステムデザインを担当する井上雅意さんに聞いた。

不動産のD2Cで、「世界中にあなたの家を」を実現する


──はじめに、NOT A HOTELのコンセプトについて聞かせてください。

濱渦伸次さん(以下、濱渦):コンセプトは、「世界中にあなたの家を」です。僕らが実現しようとしているのは、あたらしい暮らしのプラットフォーム。「ホテルじゃない」という社名のとおり、あくまでも主体は住宅であり、利用者側の視点よりもオーナー側のプラットフォーム構築に重きを置いています。

NOT A HOTEL
宮崎県に計画中の物件イメージ

「NOT A HOTEL」は、ネットでオーナーに不動産を直接販売する、いわゆる「不動産のD2C」。最初のリリースを出したときには「家がネットで売れるわけがない」とさんざん言われましたが、リリースを出して1週間で約3000件ものお問い合わせをいただきました。

オーナーが購入した物件を使わないときは、アプリで使わない期間を設定し「ホテルにする」というボタンをタップすると、その瞬間からホテルのオペレーションに入る仕組みになっています。清掃や集客、運用や決済などは、すべてNOT A HOTELが運用します。

また、NOT A HOTELの部屋を1つ購入すると、(これから増えていく)世界中のNOT A HOTELを相互利用できる仕組み。まさに自分の家が世界中に増えていくようなイメージです。それってすごくワクワクしませんか。

家賃や住宅ローンって、人生において最も大きな支出ですよね。それを自分が使っていないとき──出張や旅行で不在のときも払い続けるのって、すごくもったいないなと思っていて。NOT A HOTELだと「この日からこの日まで出張で不在」とか「この日から1週間ハワイ旅行に行く」という際、アプリを操作するだけで収入に変わるわけです。

この仕組みがつくれたら、人の移動がものすごく自由になる。5年後、10年後には「NOT A HOTELの家じゃないともったいないよね」、「貸せない家って負債だよね」みたいな世界がつくれたらと考えています。

文=筒井智子 写真=小田駿一(物件パースはNOT A HOTEL提供) 編集=松崎美和子

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