インドのコロナ危機、シリコンバレーでも支援広がる

新型コロナウイルス感染症の第2波が猛威を振るうインドに対して、米シリコンバレーの企業幹部らの間でも支援の動きが広がっている。たんに酸素濃縮器などの医療物資をインドに送るだけでなく、現地の団体と協力して、それを最も必要としている場所に届くようにしたり、病床自体を確保したりする取り組みも始まった。

「これはたいへんな危機です」。カリフォルニア州メロンパークに本拠を構えるベンチャーキャピタル(VC)、メイフィールドのマネジングディレクターであるナヴィン・チャッダは、新型コロナの感染拡大が止まらないインドの状況をそう憂慮する。自身も大学時代の友人を何人かコロナで失ったという。

インドでは先週も1日の死者が約4000人にのぼり、病院では酸素ボンベや酸素濃縮器など救命救急機器が足りなくなっている。

こうしたなか、メイフィールドの慈善組織は今月、約100万ドル(約1億900万円)の寄付金を集め、酸素濃縮器1000台をインドに提供した。チャッダによると、最も必要としている場所にこれらの医療物資が確実に届くように、現地の複数の団体とも連携しているそうだ。

著名なベンチャーキャピタリストで富豪のヴィノッド・コースラも先月、インドの病院の資金援助に取り組む意向をツイッターで明らかにし、「ニーズは大きい」としてほかのテック業界関係者たちにも支援を呼びかけた。コースラ家はこれとは別に、インドの非政府組織(NPO)に計1000万ドル(約10億9000万円)を寄付している。

サンフランシスコに本社を置く顧客情報管理ソフト大手、セールスフォース・ドットコムは先月、酸素濃縮器2000台超やパルスオキシメーター1万台などを満載したボーイング787型機をインドに飛ばせた。同社は今月も酸素濃縮器を積んだ航空機を派遣する計画だ。

このほか、ツイッターとスクエアの最高経営責任者(CEO)を務めるジャック・ドーシーも、インドのNPO向けに1500万ドル(約16億円)の寄付を表明している。
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編集=江戸伸禎

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