今回話を聞いたジェームズ・シェールも日本に住み、文化や生活習慣を学び製品にフィードバックしている。自身の目と耳でユーザーのニーズを捉えることで気付いた不満を技術で解決し、その国の生活スタイルに合った製品へ生かす。日本にあった生活環境を、実際に住んで体感しながらユーザーの声を聞くことが大切と考えるからこそ、日本のダイソンには、日本の名品が展示されるのだ。
ダイソンは4月初頭、また新たに斬新な製品を送り出した。Dyson Omni-glide(TM)は、「全方向」に駆動するクリーナーヘッドを持つ。腕と手首を使って、掃除機に「合わせていた」私たちの動きを、根本から変える新発想だ。
そういえば掃除機は単方向に動くものだった。と、気付かされた。ヘッドが自在に動くシンプルな回答は目から鱗だ。
スリムな形状と可動域のあるヘッドで床とほぼ水平にして掃除することも可能
前後にしか動かなかった従来の掃除機とは一線を画し、自由自在な操作を可能にした。棒状の持ち手は手首のひねりだけでヘッドを回転させられるのもポイントだ。ダイソンの初代サイクロン掃除機に5127台もの試作品があったように、この新しいコードレスクリーナーもまた、無数の試作を経て完成した。
動きに制限がある──、という掃除機の潜在的な課題に対して「エンジニアリングや技術で解決する」ダイソンの理念と、「常識を覆すデザイン」というコンセプトを受け継いだエンジニアたちによる、新しいDESIGN ICONの候補だ。
先人への敬意と、問題解決に取り組む社員へのエールが感じられるオフィス。展示されたデザインアイコンが、今日も壁に突き当たってしまったエンジニアたちにブレイクスルーを果たすためのヒントをもたらしているに違いない。