数々のデザインアイコンたち
ダイソンは、日本だけでなく、世界のそれぞれの国でリスペクトすべき製品を展示している。
中でも最も多くのデザインアイコンを有しているのは、英国のマムズベリーに構える同社の頭脳〈テクノロジー・キャンパス〉であり、その規模は博物館並みだ。
「カフェの天井からは復元された英国製・超音速ジェット戦闘機〈イングリッシュ・エレクトリック・ライトニング・ジェット〉が吊り下げられ、英国を代表するクルマ〈AUSTIN Morris Mini〉、すべて本物を展示仕様にして配置しています」
カフェに本物の戦闘機が吊り下げられている。写真(c)Dyson
Miniはその構造とともに展示されている。写真(c)Dyson
数々のデザインアイコンに囲まれる環境は、クリエィティブな刺激にあふれる。ジェームズ・ダイソンのオフィスには秘蔵のウォークマンも飾られているそうだ。かつてダイソンでは、デザインアイコンをまとめた小冊子も作っており、そこにはコンコルド、1955年型シトロエンDSやベビーカーのマクラーレン・バギー、ロットリングのペンからシカゴのジョンハンコックセンタービルまで、あらゆるジャンルで、アイコンとなりうる機能美の最高峰がまとめられている。
日本に溶け込むからこそ生まれる製品
創業者ジェームズ・ダイソンは、紙パックを使用しない革新的なサイクロン掃除機DCO1を生み出し掃除機業界の常識を覆した。デザインとは、いかに機能するかである──、と考えるジェームス・ダイソンは、デザイナーやエンジニアは見方を変え、どう改良できるかを考えて実現する力を持つと言う。そして彼らは、コロナ禍前までは自らが現場でユーザーの声を聞くことを実践してきた。
「ダイソンのエンジニアたちは、自社の製品を販売するそれぞれの国の環境やユーザーが、実際に使用する暮らしのシーンを念頭に置いて研究開発に取り組んでいます。エンジニア自らその国の生活環境を見て、日本には日本に合った製品を生み出すのです」