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NEXT EDUCATION代表取締役 中野正樹

バイアウト投資を通して投資先企業の企業価値向上と永続的な成長を支援するクレアシオン・キャピタルが「日本の宝」と評する企業を紹介する連載企画。第2回は社会現象となった“ビリギャル”の教育メソッドを実践する坪田塾を全国展開しているNEXT EDUCATIONだ。


勉強ができない生徒は“頭が悪い”からではなく、方法論が間違っているから


東急東横線・都立大学駅周辺は“塾銀座”と呼ばれる土地柄で、周囲を見回すと学習塾の看板が数多く目に入る。その地に、今年4月に2つめの校舎を開設したのが、映画『ビリギャル』のモデルにもなった「坪田塾」だ。

“ビリギャル”こと『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』がベストセラーとなった坪田信貴がその独自のメソッドとともに開校、独自の生徒一人ひとりに寄り添った“子別”指導を展開する同塾は、ビジネスとしても過去3年で校舎数を4倍の16校舎にし、大きな成長を遂げている。

「いまの日本の教育システムでは、生徒一人ひとりの学力や個性に合わせて伸ばしていくことが難しいのです」

そう語るのは、坪田塾を展開するNEXT EDUCATION代表取締役、中野正樹だ。

「学校の授業は集団授業です。すべての生徒に同じ内容を伝える授業では、一部の生徒に向けたものになってしまいます」さらに、学校の勉強を補完すべき存在の学習塾でも、例えば成績上位の子どもたちをさらに伸ばすこと重視すれば、当然、多くの子どもにとっては適した指導ではなくなってしまうと、中野は指摘する。

「生徒の半数は偏差値50以下、つまり平均以下の子たちです。彼らのような、これまでの学習塾のマーケット 対象として意識されてこなかった多数の生徒のために、坪田塾は生まれたとも言えます」

勉強ができないのは、生徒の“頭が悪い”からではなく、適切な指導を受けていないことが問題だと言うのだ。

「子どもの学力と学校の授業や教科書の難易度のレベルが乖離すると、学校の先生が何を言っているのかがわからなくなります。それを自分の能力が低いせいだと誤解して、著しく自信を失ってしまっている 子どもたちがたくさんいる。そんな子たちに有効なのが、坪田塾の子ども別(“子別”)のアプローチなのです」

授業はインプット、しかし試験ではアウトプットの能力が求められる


坪田塾は“子別”指導の学習塾であり“教えない”塾である。入塾時の学力と心理テストで生徒の個性を分析し、生徒一人ずつに最適なテキストを選び、学力だけでなく性格や目標を念頭に置いて最適な学習方法を計画し、動機づける。

「中学レベルの内容を理解しないまま、高校のテキストで学べば、理解することよりも詰め込むだけの勉強になってしまう。この方法では、効果が出ないだけでなく、勉強が楽しくなくなるのも当然です」

坪田塾は、生徒がわかっているところまでいったん戻ることを重要視する。例えば英語の分詞構文がわからないというなら、その手前の分詞がわかっているかを確認し、高校生でも必要に応じて中学レベルにまで戻って再スタートするという。

「いわゆる授業はありません。生徒はわからない部分を質問しますが、講師は答えや解説を懇切丁寧に説明する代わりに、質問を返します。そうすると、生徒は自分で考えたり調べたりすることを学びますし、その結果を講師に説明(アウトプット)することで、記憶の定着にもつながるのです」

わかりやすく教えてしまうことには大きな落とし穴があると中野は指摘する。

 
NEXT EDUCATION代表取締役 中野正樹

「授業や解説を聞くことは、インプット。説明がわかりやすいと、生徒は“わかる”ようにはなりますが、そもそも試験で求められるのは“できる”かどうか。つまり“アウトプット”という別の能力なのです」

それまで“わかったつもり”で、“できなかった”生徒も、できることが増えれば、目の輝きも変わってくる。

「さらに、勉強のスケジュール感や得られる効果を、具体的にイメージしてもらいます。例えば1日10個 の英単語を覚えれば、2年で高校履修範囲以上の約7,000語をマスターできる。現実的なゴールを示せば、やる気は鼓舞されるものです」

自分も大人の“ビリギャル”だった 人材育成もまた坪田塾スタイル


坪田塾は集まる講師も多様だ。中野自身は、かつては大人版の“ビリギャル”だったという。

「私を含め、講師たちも生徒それぞれの個性に寄り添い、生徒が伸びることで自信をつけ、実績を積み重ねながら、生徒と共に育っていくのです」

さらにこの坪田塾スタイルは、コロナ禍でも、その魅力を失わないようだ。

「 現在試験的に始めたオンライン授業が、たいへんな好評を博しています。約50人の生徒が参加していますが、すでに100人待ちの状態で、いま規模を拡大中です」

授業をしない、アウトプット重視の指導スタイルが、オンラインミーティングツールとも親和性が高いと中野は分析する。

「坪田塾の展開地域は、現在東名阪だけですが、オンラインならば、全国の生徒にこのスタイルを提供できるようになります」

それと同時に、講師もまた時間や地域に限定されない多様な働き方ができる。すべての施策を加速させるために、現在坪田塾はIPOを目指している。

教育現場の弱者を救うという視点


そうしたなかで、坪田塾が出合ったのが、「『日本の宝』への投資」を理念とするクレアシオン・キャピタルだった。同社の投資チーム・ディレクターの近藤宏樹は、その特異なポジショニングに最も引かれたと明かす。

「坪田塾の事業には、教育現場の弱者に対して真正面から向き合う哲学があり、社会的価値が非常に高い。まさに『日本の宝』としてふさわしいと感じました」

 
クレアシオン・キャピタル投資チーム・ディレクター 近藤宏樹

学習塾のビジネスモデルは、優秀な生徒を特別待遇で入塾させ、高偏差値の大学の合格実績を呼び水に一般客を集客するという図式が一般的ななか、坪田塾の方針は真逆であり、そこに大きな可能性を見いだしたのだという。

「これまでの学習塾では救い切れていなかった“ビリギャル”層をも対象にできる。これは明らかなブルーオーシャンです」

マジョリティでありながら未開という青い海で、坪田塾は教育の常識を打ち破る挑戦を続けている。以前の方法では生まれなかった人材が、日本の未来を書き換える日は近い。



投資ファンドの目線

個別指導塾は通常、生徒1~3人に対して講師1人が指導しますが、坪田塾のモデルなら、アウトプット重視の指導方法を取っているので、個別に最適化された指導を担保しながらも、生徒120人の教室に対して講 師7~8人(正社員メイン)とその比率を格段に効率化できます。これにより校舎あたりの収益性を高水準で維持し投資回収が速やかに行えるため、拡大戦略も行いやすいと判断しました。講師に対してもクレドに共感できるかどうかを重視し、バックグラウンドは問わないという姿勢が、多様性の時代にフィットしています。開校による成長が本線ですが、独自の人材育成のノウハウは、他分野での活用も見越せます。


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なかの・まさき◎坪田塾創業者・坪田信貴の右腕として、本部校の校長を務め、NEXT EDUCATION代表取締役に就任。米国の大学院で英語教授法の修士号を取得。「ビリギャル」の妹(上智大学合格)を含め、これまでに800人以上を“子別”指導し、保護者・生徒から絶大な信頼を得ている。

こんどう・ひろき◎クレアシオン・キャピタル 投資チーム ディレクター。東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。ドリームインキュベータにおいて事業戦略立案等のコンサルティングプロジェクトに従事後、東京大学エッジキャピタルにてハンズオンでのベンチャー投資実務経験、M&A助言・コンサル業での独立開業を経て2017年にクレアシオン・キャピタルに参画。

Promoted by クレアシオン・キャピタル / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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