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2021.05.17

世界最高峰のエンタメ企業、宇宙開発機関が認めた京都の試作屋──AIスタートアップと「協業」する目論見

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「世界最高峰のエンタメ企業と宇宙開発機関が信頼を寄せる鉄工所」「視察者は年間2000人」──

京都府宇治市にあるアルミ加工メーカー・HILLTOP、24時間無人稼働の生産管理システム「HILLTOP System」で世界にその名をとどろかせた。

どんなに複雑な加工も短期間で高品質に仕上がる、単品から発注できる......まさに夢のようなシステムは、職人技をデータ化する加工プログラムによって実現された。

「ルーティンワークは機械に任せ、人は人にしかできない知的労働に力を注ぐべき。こうした考えのもと、1991年に独自の生産管理システムをスタートし、職人でなくとも高度な部品加工ができる体制に整えました。プログラミング未経験の社員でも大体1カ月あれば、このシステムを使いこなせるようになります」

こう話すのは、同社で常務取締役を務める山本勇輝だ。

社長の甥、副社長の息子であり、会社の将来を担う立場の彼は、今の成功に安住することなく、すでに次の一手に乗り出していた。

それが「HILLTOP System2.0」ともいうべき、技能伝承AIプロジェクトである。

同社がこの取り組みのパートナーに選んだのは、茨城県つくば市に本社を構えるスタートアップ・LIGHTzだった。今回は、両社が目指す“製造業の未来”に迫りたい。

40社との面談から選んだのは、つくばのスタートアップだった


「確かに当社は『HILLTOP System』で業務最適化を実現しました。でも実は最適化って“従業員のモチベーション”とは対極の関係にあるんですよね。人が思考したり、アクションする機会は目に見えて減り、時に『この仕事は非効率だからできない』などといった最悪の選択をしてしまう恐れもある。人間がやるべき仕事は、技術の進化と共に変えていかなければならないんです」

システムのバージョンアップを決めた経緯について、山本はこう述べた。

24時間無人稼働が常態化しているHILLTOPだが、「考えて決断すべき仕事」については、当然ながら人が担ってきた。

具体的には、加工プロセスの決定を行なう「コントローラー」、加工プログラムを作成する「プログラマー」、操作・メンテナンス・スケジュール管理を担う「オペレーター」などがそれにあたる。

しかし、時が経つにつれ、山本はこのプロセスでさえも「本当に人がやるべきなのか」と疑問を抱くようになる。どうすれば、考える作業をも自動化することができるのか──思案した末に彼がたどり着いたのが、AI。

それまで、HILLTOP社内のシステムはすべて内製で構築してきたが、さすがにAI技術までは持ち合わせておらず、山本は初のパートナー探しに乗り出した。

調べてみると、候補はざっと40社以上。各社と面談を重ねる中で、彼が唯一心を奪われた企業、それが当時創業2年目だったスタートアップ・LIGHTzだった。

同社の特徴は、数式やアルゴリズムを用いず、人から発せられる言語によってAIをつくり出していること。複数のワードを紐づけ、熟達者の根底にある思考を整理しながら可視化することで他者への技能伝承が可能となる。

「私たちは、もともとあるデータをただAIに統合するのではなく、“現場に根付いた職人たちの考え”を詳細に形にして、さらなる自動化へと落とし込みたかった。この方向性に心から共感してくれて、なおかつ実現可能な力を持つ会社がLIGHTzだったんです」

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HILLTOP常務取締役・山本勇輝

いいものをつくるために、相互理解は不可欠


2018年7月。「HILLTOP System」のAI化に向けた2社の協業が始動した。LIGHTz代表を務める乙部信吾が当時を振り返る。

「最初に山本さんから課せられた命題は、すでにデータ化されている30部品の加工プロセスを“職人の視点”から詳細に紐解いていくことでした。つまり、もともとあったHowに、Whyの要素を加えて“How to”にしていく作業ですね。

例えば、アルミを円柱の形に切り出す場合。『上からでも下からでも削ることは可能なのに、なぜこの部品は側面からアプローチするのがベストなのか』といった疑問を直接投げかけながら、職人たちの“思考”を言語化していきました」

綿密なヒアリングと並行して作成したのが、プロセスと結果の関係性を示す「コンサーン図」。数値解析だけでは分かり得なかった部分を言語化し、図に落とし込むことによってWhyを可視化した。

そして次のステップでは、この「コンサーン図」を基に、How to となるべくAIシステムを実装させたのだが、乙部はこれまで通り、一連のプログラミング作業は自社で完結させるものだと考えていた。

「しかしプロジェクト開始から1年ほど経ったタイミングで、HILLTOP側から『AIシステムで使用するRuby言語の実技研修会を開いてもらえませんか』と申し出があったんです。驚きましたね。これまで概要を教えてほしいという声はあっても『実際に技術に触れてみたい』という要望はありませんでしたから。プログラマーのみなさんの意識の高さを猛烈に感じました」

こうした社員たちの自発的な行動に対して、山本自身はどう感じたのか。

「彼らは現場サイドの人間から『使いづらい』『もっと意見を聞け』と何度も言われながら、“活用できる”自社システムをつくり上げてきました。相手側に積極的に関わらなければ、本当にいいものは作れない。このことが身に染みているのではないのでしょうか」

「AIはこういう流れでつくられているのか」「HILLTOPのプログラミングはこんな感じで組まれているのか」......実技研修を通じて、さらなる相互理解が深まった両社。開発に弾みがついたのはいうまでもない。

人の仕事を奪うのではなく「人を活かし成長させるため」のAIシステムを


プロジェクトがスタートしてから2年9カ月。2021年3月現在では、すでに社内でのテスト運転に突入し、期待以上の成果をあげている。

「先日、『職人』と『HILLTOP System』、そして開発中である『AI CAM』の3つのケースで、同じ製品加工の作業時間の比較を試みたのです。

全工程にかかった時間はそれぞれ『6時間』『2時間』『1時間20分』。人が介在した部分でいうと『HILLTOP System』が58分だったのに対し、『AI CAM』はわずか6分に短縮できたんです。完成したら、当社の8割方の仕事が新システムに置き換えられる見込みです」(山本)

「テストと並行して、今注力しているのが加工プログラムでいう仕上げの精度を高める作業。『どうしてここに削り残しが出るのか』『なぜこの部分だけきれいに仕上がっていないのか』というような疑問を1つひとつ潰していく最終調整に入っています」(乙部)

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LIGHTz代表・乙部信吾

全パターンの課題をなくし、完璧なシステムをつくり上げたい──山本がいつもにも増してこう強調するには訳がある。

実は自社の活用だけでなく、他社への販売も視野に入れて進めてきたプロジェクトだからだ。

「私たちはこれまで、試作品の受注を通して『HILLTOP独自の知見や技術』を他社に共有し、支持を得てきました。さらに多くの製造業に貢献するためには、当社のすべてが詰まったこのAIシステムを各社の手元に届けることだと考えていて。

24時間365日稼働できるこのシステムを導入すれば、新規事業やマーケティングなど“差別化を図るための施策”にリソースを充てていただくことが可能になります。加えて『規模は小さいが技術力のある会社』のスモールスタートをも後押しできるのではないかと。

今後はおそらく、個人の要望に適合させるために特注で商品やサービスを制作する“カスタマイゼーション”が主流になっていく。そうした時代の流れにも呼応できると意気込んでいます」(山本)

現地法人立ち上げのため、2013年からの4年間、アメリカ・カリフォルニア州に駐在していたという山本。シリコンバレーやロサンゼルスでさまざまな起業家と会い、話をしながら“ビジネスの勘所”を体得したと話す。

「それまでは技術の深堀りという縦の視点しかなかったのですが、“横に展開する”大切さを知ることができたんです。アメリカに渡らなければ、他社とタッグを組むという考えも、システムを販売するという発想も出てこなかったかもしれない」(山本)

これまで実に1000時間以上の時間を費やし、議論を交わしながら開発に邁進してきたHILLTOP、そしてLIGHTz。2021年中にジョイントベンチャーを立ち上げ、海外展開を視野に入れたセールス活動を展開させる予定だ。

人の仕事を奪うのではなく、人を活かし成長させるために。職人の知見や思考が備わった革新的なAIシステムは、製造業の未来を変えるに違いない。

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