Forbes JAPAN Web編集部


1面には「THE LOEWE SHOW HAS BEEN CANCELLED」の文字が刷られ、文字通りロエベは3月5日にパリにて予定されていたショーを行わず、紙面の写真でコレクションを発表した。新聞には新作の写真以外にも、アメリカの人気作家ダニエル・スティールによる新作小説も掲載されている。



新型コロナ禍でショーを行えないなか、デジタル上だけでコミュニケーションを完結するのではなく物質的な存在感を与えることで、ファッションを一過性のものにしない、深いコミュニケーションがここでも生み出されている。

また、新聞という媒体を用いることで、普段はファッションやブランドとの接点をもたない層にも世界観を届けることができる。あえてSNSなどのデジタル媒体とは逆行するツールを選ぶことで、新たな接点を生み出すこともできるのかもしれない。

SNS上でバーチャル試着


SNSを「見せる」以外でも活用し、コミュニケーションをよりスムーズにする施策を行うブランドもある。

ディオールは昨年11月にスナップチャットと協業し、ARを用いたプロモーションを行なった。スナップチャットのフィルターで自分の足を写すことで、バーチャルで6種類の新作スニーカーの試着ができるというものだ。さらに試着後、フィルター画面から直接商品を購入することもできる。

実はこのスナップチャットの試着用AR機能は、昨年グッチが初めて実装したのだという。バーチャル試着機能はグッチの公式アプリにも搭載されているが、スナップチャット上でも行えるようにすることで、より多くのユーザーと接点をもちたい狙いだ。

Dior
好きな靴のフィルターを選んで足にかざすとバーチャル試着ができる

ディオールの発表によると、AR機能などのスナップチャット上での販促のみで、ブランドの標準的な費用対効果の3.8倍の効果があったという。デジタルツールとの距離感が近いミレニアルやZ世代にとって、手に取らずとも画面を通して着用の様子がわかることは十分な「試着体験」なのかもしれない。

ブランドの商品や世界観を「見せる」以外でも、「体験する」までを提供することで、直接的でスピード感のあるコミュニケーションを生み出している。

SNSをはじめとしたソーシャルメディアが欠かせないタッチポイントとなった現代において、真に求める形のファンとのコミュニケーションとは何か。今後も各ブランドは模索を続けていくだろう。

文=河村優

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