日本の米の消費量が減少し続ける一方、海外のおむすび人気はうなぎのぼりだ。“日本の田んぼを海外のおむすび需要が守る”といった耳を疑うような構図も現実味を帯び始めた。
首都圏を中心に国内48店舗、海外3店舗を展開しているおむすび権米衛は、契約農家直送の米を店内で炊き上げ、1つ1つ手でむすんだおむすびを販売している。目指すのは一貫して「日本の米の消費拡大」。その強い信念を象徴する大きなおむすびは、具も含めて140グラムとコンビニおむすびの1.5倍。20年前の創業時以来、変わらない大きさだ。
オリジナルマスクを付けて働くNJ店のスタッフ(提供:おむすび権米衛)
コロナ禍で飲食店の閉店や営業の制限が相次ぐなか、アメリカ・ニュージャージー州郊外にある「OMUSUBI GONBEI NJ店(以下NJ店)」の今年3月の売り上げは2013年の開店当初から約4倍に伸び、フランス・パリの「OMUSUBI GONBEI Paris Palais-Royal店(以下パリ店)」では2017年の開店当初から約2倍に伸びた。
アメリカでは2020年3月下旬からロックダウンが始まり、アメリカのもう1店舗はニューヨーク州のオフィス街にあるため休業を決断。NJ店ではおむすび権米衛の海外事業本部長が1人体制でおむすびを販売し続けた。
ロックダウン中は売り上げが落ちたが、ロックダウン解除後はテイクアウト限定ながらもすぐに売上が好調となり、8月には過去最高売り上げを更新。その後も時短営業で店内飲食は50%以下の稼働率という縛りがありながらもNJ店は過去最高売り上げ記録を破り続けている。
入店可能な客数は3名までという要請を受け、店の外にできた行列がさらなる行列を呼んだことは嬉しい誤算だったという(撮影:Kasono Takamura)