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世界で新規株式公開(IPO)が活発になっている。今年これまでの調達金額と件数は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で低迷した昨年同期から一転、ともに過去最高に膨らんでいる。借り入れコストが低くなっているうえ、ワクチンの接種が進み、世界経済の回復に対する投資家の楽観的な見方が広がっていることが背景にある。

金融情報会社リフィニティブのまとめによると、2021年の世界全体のIPO資金調達額は5月10日時点で前年同期比322%増の1403億ドル(約15兆3800億円)。件数も123%増の670件で、いずれもこの時期としては過去最高だ。

ニューヨーク証券取引所でのIPO資金調達額は前年同期比717%増の215億ドル(約2兆3600億円)。IPO件数もほぼ5倍の32件となっている。テクノロジー株の多いナスダック市場では調達額は438%増の339億ドル(約3兆7200億円)、件数は304%増の105件となっている。

ただ、前年同期比の伸びは、昨年の同時期はパンデミックの影響でIPOが非常に少なかったため、反動で大きな数字になっている面もある。

セクター別のIPO件数ではテクノロジーが最も多く、全体の27.1%を占めた。ヘルスケアが16.4%でそれに続いている。

上場先では、ニューヨーク証取とナスダック市場が資金調達額ベースで約40%、件数ベースで約3分の1を占めている。一方で、調達額上位10件のうち8件は米国外の証券取引所のものとなっており、首位は2月に香港市場に上場した動画投稿アプリ運営の快手科技の62億3000万米ドル(6830億円)だった。

リフィニティブのアナリスト、ルシール・ジョーンズは「昨年、新型コロナの感染拡大を受けて落ち込んでいた株式市場がその後急速に回復し、企業のIPOをあと押しした。コロナ後の成長機会に対する投資家のセンチメントが今年のIPOを活発にしている主な要因だ」と説明している。

編集=江戸伸禎

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