70歳を過ぎても就労を望む米国の高齢者が増加

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米国では、70歳を過ぎても働くか、いっそのこと退職せずにずっと働くつもりの人が増えているという調査結果が発表された。米リバースモーゲージ企業のアメリカン・アドバイザーズ・グループ(AAG:American Advisors Group)が2021年5月6日に公表したこの調査結果は、米国では多くの高齢者が、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけにして自身の老後プランを見直し、生活の質を維持しようとしていることを示している。

AAGは、米国に住む60歳から75歳までの高齢者1500人以上を対象に調査を実施。その結果、回答者の半数近く(46%)が、フルタイムの仕事を辞めたあとも、パートタイムの仕事を続けるつもりだと回答した。

5分の1近く(18%)は、70歳を過ぎても仕事を続けると回答。2019年調査の8%から増加した。また、フルタイムの仕事を辞めるつもりはないという回答は12%で、こちらも2019年調査の6%から増加した。

高齢者のおよそ30%は、パンデミックが自身の老後プランに「マイナスの影響」を与えたと回答。21%の人は、生活費支払いのために、退職金口座1件かそれ以上に手を付けたと述べた。

AAGの最高マーケティング責任者(CMO)マーティン・レノア(Martin Lenoir)は、「2020年にさまざまな出来事が起きて先行きが不透明になった結果、多くの高齢者は、経済力と柔軟性を確保することで、自分たちが思い描き計画してきた退職後の生活を引き続き楽しみたいと考えている」と述べた。「周知のとおり、米国人の寿命は延びているが、今回の調査は、高齢者がこれまでの退職年齢を過ぎた後もずっと働くつもりであることを明らかにしている」

高齢者の多くにとって、働き続けることを望む理由は、住宅費を稼ぐ必要があるからというよりは、老後も生活の質を落とさずに済むようにというものだ。回答者の半数近く(47%)は住宅ローンを完済しており、借金という重荷はないと答えている。

2020年第3四半期時点で、62歳以上の人が所有する住宅資産の市場価値は総額で8兆500億ドルと、記録的な額となった。これは、全米リバースモーゲージ協会(NRMLA)が発表した、入手可能な最新データだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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