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Whatever CCO 川村真司

「世界のクリエイター50人」に選出されたことがあるWhatever CCOの川村真司。経営の中枢を担うクリエイターたちが川村に語った「創造力を磨く秘訣」とは。


──海外で活躍する5人の回答(3ページ目以降)をどう見ましたか?

「みんながクリエイティブになるための工夫は?」という質問に対して、何人かが「safety」というキーワードで答えていました。「好きに発言していいんだ」という安心感が生まれる組織や土壌、カルチャーをつくるのが大事だと。まさにその通り。クリエイティブのセンスをどうこうするより、みんなが自分のなかにもっているアイデアを気がねなく発揮しやすいようにしてあげることを考えるべきだという指摘は示唆に富んでいます。

──その際に、CCO(最高クリエイティブ責任者)の役割とは?

会社のさまざまな場所にクリエイティブを注入していく人だと僕は理解しています。「課題を解決するための力」を組織にインストールする役割。プロダクトや広告など日々のクリエイティブも見つつ、同時に組織づくりだったり、契約書のデザインだったり、ワークスタイルの改善のようなところにもかかわる。経営層のわかる言葉でクリエイティブについて話し、横断的に指揮をとり、「チーム全体としてのクリエイティブをどう底上げするか」を考えて動く役職です。

──全員をクリエイティブにする、と。

CEOがビジネスでの判断に加え、クリエイティブすべての判断を担うのは物理的に無理な側面があります。そんなとき、CCOになれる才能を社内外から見つけて自分の横に立てられるといいんじゃないか。スタートアップではクリエイティブ人材を参画させるのが後回しになっているケースを見かけますが、そうした人がいるだけで組織のつくり方も変わってきます。

本来、起業は創造的な活動


──今回、話が聞けたのは全員男性でしたが、ペレ・ショネルさんはダイバーシティ(多様性)がある組織のメリットを強調していました。

完全に同感です。ダイバーシティがあると、みんな自然とクリエイティブになります。さまざまな文化やコンテクスト(文脈)の下で暮らしてきた人たちが意見を出し合って、これまでなかった発想が生まれやすいし、いろんな価値観をもった人に選ばれるアイデアに無理なくたどり着ける。

僕がオランダで働いていた会社は当時150人ぐらいのスタッフ数でしたが、50カ国ぐらいから集まって来ていた。そんな環境って、やっぱり面白いんですよ。年齢や国籍がバラバラな人たちにも魅力が伝わるぐらいシンプルで強いアイデアじゃないと、よくも悪くも採用されない。そこで通用するアイデアは、すでにグローバルマーケットに通用するプロダクトやサービスになれるはずで、かなりの武器になる。

国ごとに状況は異なりますが、特にアメリカなどでは性別や人種による雇用率が問題にされます。もっとインクルーシブ(包摂的)にしようという試みがすごく叫ばれている。比べると日本の会社は、日本人ばかりですし、ダイバーシティに関しても声が小さい。でも、メルカリのように積極的に海外の人材を採用し始めているケースも現れています。完璧かどうかは別としても、そういった意識のある企業がつくっているものはやはり面白いし、世界を相手にできる強度がある。

文=神吉弘邦 写真=大中 啓

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