ビジネス

2021.05.17

世界のトップクリエイターに尋ねた「ビジネスにおけるクリエイティブ」の現在

Whatever CCO 川村真司


MASASHI KAWASHIMA 川島優志 Niantic, Inc., Vice President


A1:クリエイティビティはビジネスの中心であり、困難が生じたときの救世主です。COVID-19は、ビジネスが生き残るために創造性がいかに大切かを教えました。新しい仕事環境の構築、目標のリセット、思い切ったブランディングの変更、リソースの再配置、新たな機会の探求……これらすべてにとってクリエイティビティは重要です。

A2:優秀な人材の採用には時間がかかります。時間をかけてつながりを築き、お互いを知りましょう。もし、その人のクリエイティビティを育てなければならないとしたら、採用に問題があります。優れた才能とは、自らを育てるものだからです。

A3:風変わりなことを最初に実践して、メンバーが同じことをするのに「安全」と感じる環境をつくります。彼らのクリエイティブな趣味や派生プロジェクトを奨励します。回り道を恐れずに、思いがけない出会いを一緒に楽しんでください。

A4:たとえネガティブな状況や制約のなかにあっても、クリエイティビティの種を見つけたり、創作したりすることをポジティブに楽しんでいます。

スマホゲームが世界的ヒット


以前に川島さんがGoogleにいた時代からの知り合いです。名前が似てるので、お互いよく間違ってメールが届いたんですよ(笑)。Google社内スタートアップとしてジョン・ハンケさんとNiantic Labs(ナイアンティック・ラボ)を立ち上げた後、2015年にNiantic, Inc.として独立。ARゲームの「イングレス」をヒットさせ、そのあと「ポケモンGO」を手がけた。グローバルな企業で経営者に寄り添いながらクリエイティブを牽引する稀有な日本人です。

Andrew Deitchman アンドリュー・ダイチマン New Stand, Co-Founder/CEO


A1:競争上の優位性を確保するのに、クリエイティビティは最も有効で、費用対効果の高い手段です。店舗やアプリのデザインで力を発揮しますが、人事資料や投資家向けプレゼンでも活用します。

A2:採用は口コミやスタッフの紹介がベスト。新たな人物が私たちのカルチャーに溶け込める可能性も高いからです。優れた才能に対して、難易度の高い数々のプロジェクトを用意し、敬います。

A3:何よりも、みんなに「安心感」と「帰属感」を与えること。そうした環境では、より人はオープンで大胆になれます。批判されることなく自分の感情、野心、アイデアを表現できるセッションを毎週開催してきました。リモート環境にあっても困難を乗り越えながら継続しています。

A4:毎朝(たいていシャワーを浴びながら)、私自身の充足感と野心を確認します。いま自分が手にして幸福を感じているものと、これから懸命に取り組むものを確認する作業です。心地よさを感じながら、貪欲に求める態度の組み合わせは、クリエイティビティを発揮するのには効果的です。

ニューススタンドの新解釈


アンドリューはクリエイティブエージェンシーのMother New YorkでCEOを務めてから、2016年にNew Stand(ニュースタンド)を創業。地下鉄構内などにある寂れかけたニューススタンド(売店)の立地に注目し、そこにユニークな商品を置き、決済機能を含めたコミュニティアプリを開発することで新たなセレクトショップとして蘇らせました。その海外初支店「New Stand Tokyo」を、東京にいる僕らが3社共同で運営している縁があります。

文=神吉弘邦 写真=大中 啓

この記事は 「Forbes JAPAN No.080 2021年4月号(2021/2/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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