日本での「ワクチン不信」の歴史
日本では1970年代初頭に、天然痘などのワクチンによる副作用をめぐる集団訴訟が多発し、予防接種に対する不信感が高まった。その後、1992年に裁判所が政府に損害賠償を求めたことで、政府が予防接種に消極的になったとされている。
さらに、1990年代初頭には麻疹、おたふくかぜ、風疹の3種混合ワクチンと、小児無菌性髄膜炎の増加との関連が疑われた結果、政府はこれらのワクチンの義務接種を任意接種に切り替えた。
また、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンに関しても、日本では2013年4月に定期予防接種の対象となったが、このワクチンが頭痛や発作を引き起こす可能性があるという報道が相次いだ結果、厚生労働省は同じ年にその積極的推奨を取り消していた。
その結果、安全性や子宮頸がんの予防効果が確認されているにもかかわらず、日本におけるHPVワクチンの接種率は70%から1%を下回る水準に低下していた。