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2021.05.19

やっぱりテレビの伝え方が一番伝わる理由

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“語彙力を高める”必要はない


視聴者を疲れさせずに情報を伝えるために、とても大切なことの1つが、「ありふれた言葉・表現を使う」ことです。

たとえば、あなたのまわりにこんなことを言う人はいませんか?

1. プライオリティをつけてから、ディスカッションしたほうがいいよね!
2. ナレッジの共有がベストプラクティスにつながります。

こんなカタカナ語を多用する人、最近増えていますよね。デキる自分を演出したいのかもしれませんが、「いかにうまく伝えるか」という視点で見ると0点であると言わざるを得ません。

聞き慣れない言葉が出てくると、頭の中に「?」が浮かびます。こうなってしまった瞬間、相手の話を聞こうとする気持ちは萎えてしまうのです。自分の意見を本当に聞いてほしいなら、こう表現すべきです。

1. 優先順位をつけてから、話し合ったほうがいいよね!
2. 知識の共有が最も効率のいい方法です。

これならよくわかりますよね。

このように、普段の会話で使う言葉や表現は、誰もが理解できる「ありふれたもの」を使うことも、物事を伝えるうえでは非常に大事なのです。

逆に言えば、語彙力を高めるために勉強したり、言葉のセンスを磨いたりしなくても、「型」さえ覚えてしまえば誰もが活用できるということです。

禁断の「設計図」


そんな、「ありふれた言葉・表現」を使いつつ、インパクトも与えるテクニックをお伝えしましょう。

これは、番組を作るうえで最も重要かつ多用されているものです。まずは、次の2つの文章を見てください。

まったく同じことを言っている、使っている単語もほぼ同じAとB。しかし、ある要素を入れることで、Bのほうがより強く印象に残る文章になります。

A 社長は、「社員全員の給料を10%アップ」させる決断をしたため、会社が大きな成長を遂げた!

B 会社が大きな成長を遂げるきっかけとなった、社長の決断。それは!「社員全員の給料10%アップ」

Bは、Aの文章に、テレビ番組でよく使われている、「振り」と「受け」という基本構造を入れたものです。Aに比べて、Bのほうがイキイキとした印象が生まれ、「給料10%アップ」がより強調されていますよね。

この「振り」と「受け」は、番組を構成するうえでとても大事な要素です。これがあるために、「チャンネルを替えられない」「次が気になる!」というテレビ特有の構成を組み立てることができるといっても過言ではありません。
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『ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則』(かんき出版)

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