クラシックと先進性の融合こそ、IWCの魅力

アルピニストの野口健さん。「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ“ブルーエンジェルス”」を語る。


「IWCとは長い付き合いです。2007年に『ポルトギーゼ F.A.ジョーンズ』を手に入れてからなので、もう14年になりますね。この“F.A.ジョーンズ”は、どうしても欲しくて、その年にエベレストの登頂に成功した自分へのご褒美として購入しました。人気モデルの限定品だったので、登山中も売り切れないか心配でした」
 
野口さんは登頂後、8200mの最終キャンプまで戻り、すぐに奥さんに衛星電話をいれて在庫確認をしてもらったのだという。

「その後、IWCの方がF.A.ジョーンズを着けてテレビに出演しているのを見てくださっていて、僕が設立した、ヒマラヤで亡くなったシェルパの遺児の教育資金を支援する『シェルパ基金』に共感をいただいて、コラボレーションも実現しました」
 
そのときのモデルが2008年の『インヂュニア 野口健 シェルパ基金モデル』。売り上げは「シェルパ基金」に寄付されている。IWCはこういった支援活動を積極的に行うブランドで、そのブランドの腕時計が好みという野口さんの嗜好とうまくかみ合わさった。
 
野口さんは「ポルトギーゼ F.A.ジョーンズ」を購入したように、クラシックなものを好むという。

「高校まで英国で暮らしたことが影響していると思います。身の回りにアンティークの品物がたくさんあるんですよ。古いものを長く使うことに美徳を感じている。僕もレトロなデザインにはなじみのよさを感じます。いま築300年の古民家に住んでるのもその流れですね」

IWCが好きなのは、そのクラシックと新しさをうまく融合しているからなのだということだ。そして、ここ数年は「パイロット・ウォッチ」がお気に入り。ヒマラヤに行くときも腕には常にこのモデルがあるという。

「デザインも好きですし、何よりセラミックというところがいい。ヒマラヤは強烈に寒い。だからステンレスだと時計が冷えてしまう。セラミックは熱を通さないので、凍傷にかかりにくいんです。それに軽い!」
 
通常だと昨年もヒマラヤに行く予定だったのだが、コロナで断念している。

「昨年の秋には『パイロット・ウォッチ・クロノグラフ“ブルーエンジェルス”』を着けてマナスルに登るはずでしたが、残念です。できれば今年の秋には登りたいです」
 
ヒマラヤ行きはもう何年も続けているので、もはや日常。周りには亡くなっている人も増え、「死」を身近に感じることもあるというが、いまのところ登山をやめるつもりはない。パイロット・ウォッチを伴った野口さんの挑戦はまだまだ続く。


ダイヤルはブルーエンジェルスらしくブルーとイエローの配色が美しい。またケースはセラミックと強く軽い。さらにはパイロット・ウォッチの特長となっている軟鉄製インナーケースの搭載により高い耐磁性も併せもっている。


ケースバックには、米海軍の飛行部隊ブルーエンジェルスの記章が刻印されている。

IWC Pilot’s Watch Chronograph“Blue Angels”

ムーブメント:自動巻き Cal.89361
ケース素材:セラミック
ケース径:44.5mm
価 格:1250000円
問い合わせ:0120-05-1868


野口 健◎1973年生まれ。高校時代に植村直己の著書に感銘を受け登山を始める。1999年エベレスト登頂に成功し7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。富士山などでの清掃登山、小中学生向け環境学校開校など環境問題にも積極的に取り組む。

text by Ryoji Fukutome / edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.081 2021年5月号(2021/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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