美容業界のパラダイムシフト 「コオロギプロテイン」にも期待

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一方、健康というキーワードで注目したいのが、昨年の日経ヒット商品ランキングでベスト10入りしたプロテイン粉末である。筋トレの相棒のような存在だったプロテインが、今は美容と健康の必須アイテムに。髪の毛や爪はケラチンというタンパク質でできていて、細毛や爪のトラブルはタンパク質不足が原因の一つ。そこでプロテインというわけだ。

日本のコオロギプロテイン、いかがなものか?


牛乳からとれるホエイと大豆(ソイ)が主流アイテムだが、最近ではコオロギプロテインも浮上している。カルフォルニアでは5年ほど前から販売されており、なんとなくスタイリッシュなイメージもあって飲んだこともあった。

しかし、日本で日本のコオロギの粉を食べるのか……というのは違和感があり、最近いろいろと試している。そのなかで、味は美味しいが、脚や目玉のかけらが残るプロテインもあったので、知り合いつてで製造過程を見学してきた。百聞は一見にしかずだ。

驚いたのは、コオロギは1カ月で成長する生き物で、光があろうがなかろうが、餌が少なかろうが、どんどん成長してしまう。もともと劣悪な環境で生き残る虫なのか、病気にも強く、何千匹飼っても病気もせずにすぐ大人になる。あとは乾燥させて粉末にするだけらしい。

日本ではまだノウハウも少なく、すべてワンオフの養殖場なので高くつくそうだが、こんなに便利な生き物であれば、どんどん拡大しそうな気がしてくる。何千匹も一緒に飼うと共食いが避けられるとか、成虫になっても羽が伸びにくく、粉末にしたときにふわふわ飛び散る羽問題が解決されるとか、現場では相当マニアックな研究がされていた。



長野あたりの郷土料理としてイナゴの佃煮があるので、イナゴとコオロギの栄養価の違いが気になったが、大雑把に言えばバッタは草食でコオロギは肉食なので、コオロギのほうが栄養価が高いそうだ。

知らないことが多いジャンルだ。明日の日本の美容だけでなく、食糧問題も解決するとなれば、遠くない未来に、空いた都心のオフィスがコオロギの養殖センターになる日が来るのかもしれない。

文、写真=朝吹 大

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