Vianova社のプラットフォームは、eスクーターなどのマイクロモビリティ企業や都市の交通担当者に利用され、さまざまな交通サービスとの連携やデータのモニタリングに活用されている。
同社は最近、スウェーデンのeスクーター(電動キックボード)企業「Voi」と共同で、ストックホルムでのサービスを開始した。Voiとストックホルムの行政当局は、このデータプラットフォームを利用して、eスクーターのレンタル、乗車、駐車ができる場所を管理している。
「都市のモビリティの進化は、大きなメリットをもたらすが、正しく管理されなければ、都市に大混乱を引き起こす可能性がある」と、Vianova のCEOのティボー・カスタニュは述べている。
ここ数年、多くの都市でeスクーターや自転車のシェアリングサービスが始動したが、車両の取り扱いにはほとんど注意が払われてこなかった。そのため、パリをはじめとする多くの都市では、事業の抑制が余儀なくされている。
Vianovaのプラットフォームを、都市のダッシュボードに接続することで、その都市のマイクロモビリティサービスだけでなく、既存の公共交通機関のネットワークとの相互作用を把握できる。
「都市交通の観点から、モビリティの組み合わせを見ることは興味深い。公共交通機関だけでなく、シェアリングサービスとの組み合わせの効果を分析可能になる」とカスタニュは述べている。「例えば、eスクーターに乗った人が家に帰るためにトラムや電車にどの程度乗るのか、またその逆はどうなのか、といったことを分析するのは非常に興味深い」
カスタニュによると、同社のテクノロジーとデータは、市の職員がサイクリングレーンをどこに建設するかなどのインフラ設計の場面でも利用されているという。
Vianovaは英国にも進出している。英国では昨年から、eスクーターのシェアリングの法整備が開始されており、同社はノーサンプトンシャーの議会とVoiと共同プロジェクトを実施中だ。
南米にも進出
「市の担当者は、当社のプラットフォームを用いて、ジオフェンスで囲まれた駐車禁止区域や立ち入り禁止区域、車両を駐車するための特定のモビリティハブなどの規制を作成することが可能だ」と、カスタニュは述べた。
今回の英国でのトライアルは、都市部のモビリティを再構築するための取り組みの一環で、ロックダウンが緩和され、人々が街に戻ってきた時に役立つことを目指している。Vianovaは、英国での事業拡大を視野に入れており、eスクーターなどのマイクロモビリティのサービスを導入する都市が増えることを期待している。
Vianovaは、昨年末にRATP Capital InnovationとContrarian Venturesから180万ユーロ(約2億4000万円)のシード資金を調達し、年内にシリーズAを実施し国際的に拡大することを目指している。同社は南米でも最初の顧客を獲得したが、現状では場所や企業名を明らかにしていない。
「モビリティ事業を拡大する上では、現地の市場の状況、特に政府との協力関係を熟知していなければならない。真の信頼関係を築くことが非常に重要だ」とカスタニュは述べた。