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難民から考える、日本と世界の「未来」

入管法改正の反対の声があがるなか、入国管理局や収容施設では一体何が起きているのか。

今国会で、入管法(正式名称は「出入国管理及び難民認定法」)改正案の審議が続いている。5月8日の強行採決は見送られたが、12日の衆院法務委員会で採決する方向で調整に入った。与党が今国会での成立を急ぐ一方で、反対を訴える市民や専門家の動きが加速している。

国会の前では高校生までもが抗議活動をしており、顔を出して記者会見で訴える「仮放免」を受けた人たちや、何度も声明を出してきた弁護士たちがいる。

1カ月前にもまさに収容施設で命を落とした人がいる。名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したスリランカ人のウィシュマさんだ。子どもたちに英語を教えたいという思いで来日したが、留学中に同居男性からDVを受け、退学をせざるを得ず在留資格を失ったという。

収容施設内で20キロも体重が減り、吐血・嘔吐、健康状態の悪化を訴え、外部の病院に入院することを求めたにもかかわらず、十分な治療もなく収容が続けられたことが原因だったと指摘されている。

入国管理局や収容施設で何が起きているのか。日本に暮らす外国人は何に直面しているのか。

「国籍」という、自分では変えることの難しい属性を理由に、今日も収容されたり、生活する資格を失ったり、子どもや家族とバラバラにならざるを得ない人たちのことをいま一度この機会に考えたい。

難民申請中の人たちが改正で最も恐れる「3回目の却下」


この改正に影響を受ける外国人の中でも、難民申請中の人たちが最も恐れているのは「3回目の難民認定申請が却下されたら、祖国への強制送還ができるようになる」ということ。

ここでまず大事なのは、自分の国を逃れただけで難民になれるわけではないこと。広い意味では、危険を逃れ故郷をあとにせざるを得なかった時点で「難民状態にある人」だが、逃れた先の国で、審査されて認定され、ようやく「認定された難民(認定難民)」になれるのだ。

だから、日本にやってきた「難民状態にある人」も、日本政府に対して難民として認定してもらうための申請(難民認定申請)をし、あとはひたすら待ち続けることになる。その長い道のりの中で、送還される可能性が出てくるというのが今回の変更点だ。

世界には日本も加盟している難民条約がある。

祖国での危険や迫害の恐れから、どこか別の国に逃れ難民申請している人に対して、その結果が出るまでの間、危険があるかもしれない祖国に返されることは国際ルールで禁止されている。(ノン・ルフールマン原則

しかし、今回の改正では、難民認定が2回却下され、3回目の審査も却下された暁には、日本政府が強制的に送還できるようになる。それでも送還を拒む人に対しては、刑事罰を加えることも可能になるのだ。

強制送還とは、帰国を望まない人を国家が強制的に送り返すこと。

しかし「帰らない」ではなく「帰れない」理由のある人たちがいる。帰れないから難民申請をする人たちが、帰らないから強制送還をするというのは、本末転倒だ。

文、写真=渡部カンコロンゴ清花

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