CDCの国立衛生統計センター(NCHS)が発表したデータによれば、2020年における米国の出生数は、前年比で4%減少した。この数字は、2014年以降の年平均減少率の2倍にあたる。
15歳から24歳までの母親の出生率はおよそ6%低下し、過去最低に達した。その一方で、45歳以上の出生率は変わらなかった。
合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)も1.64と、前年比で4%低下し、同報告書によれば「わが国の過去最低」となったという。
米国は1971年以来、人口置換水準(ある世代が、次の世代にも同じ人口を維持するために必要とする出生数)をおおむね下回ってきたが、今回の出生率低下により、人口置換水準をさらに下回ることになった。
今回のCDCデータは、2020年に発行されたほぼすべての出生証明書と、2020年の国勢調査のデータを検証して得られた知見に基づいている。大幅な出生率低下をもたらした原因について、CDCは考察していないものの、新型コロナウイルス感染症のパンデミックとそれに伴う不安定な経済が大きな役割を演じている可能性は高い。
2020年に米国で生まれた子どもの数は360万人で、1979年以来の低水準を記録した。
パンデミック初期のころは、ロックダウンという状況がベビーブームを後押しするのではないかと推測する人が多かった。その一部は、何もすることがないまま狭い場所に閉じこめられる状況をめぐるジョークだったが、災害が起きた9カ月後に出生数が急増したケースがあることを根拠に、そう主張していた人々もいた。
だが、時間が経つにつれて、多くの人はベビーブームという考えを捨て始めた。あちこちの家庭で、状況がもっと安定するまで子づくり計画が延期され、それに伴って、出生率低下の兆しが見え始めていることを示す証拠が続々と集まってきたからだ。
多くの先進国では依然として出生率低下が続いている一方で、世界各地では、避妊、妊娠中絶、妊産婦ケアの提供を目的とした多くのプロジェクトがパンデミックで中断されている。国連人口基金(UNFPA)の報告書は、物資の不足、分娩の混乱、サービスの乱れにより、多くの女性が家族計画関連サービスを利用できなくなっていると伝えている。
UNFPAの推計によれば、パンデミックの最初の1年で、低~中所得国に暮らす最大2300万人の女性が家族計画関連サービスを利用できず、270万件の意図せぬ妊娠につながった可能性があるという。インドネシアなどの一部の国は、パンデミックに伴った診療所休止などにより避妊手段へのアクセスが妨げられていることから、ベビーブームに対する備えを進めている。