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2021.05.14

「アフターデジタル3のつもりで企画した」 ビービット・藤井保文が明かす“UX・DX祭典”の開催理由

長期化するコロナ禍のなかで、デジタル化は大きく進展した。しかし、本質的な意味でのDXは果たして進んでいるのだろうか。「業務効率化」「生産性向上」のキーワードにとらわれすぎるあまり、真に必要なUX(体験価値)の提供にたどりつけていないのではないか──。

そうした強い危機感から、世界最先端のビジネス・UXリーダーや起業家、思想家を集結した大規模オンラインフェス「L&UX2021(Liberty and UX Intelligence)」(2021年5月17日~5月28日)を企画したのが、累計15万部を突破した『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る』『アフターデジタル2 UXと自由』の著者、藤井保文だ。豪華登壇者の顔ぶれに開催前から多数の問い合わせが集まっている注目のフェスにかける思いを、改めて聞いた。


国内外リーダーの“本物の声”を生で届けたい


──UX・DXの現在地をどのように捉えていらっしゃいますか。

2019年3月に『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る』を発刊して、完全なオフラインのない時代がやってくるとお伝えしました。リアルありきでデジタルがあるのではなく、デジタルありきでリアルを考えるべきだということは、かなり浸透してきた実感があります。

 一方で、日本のDXトレンドにはかなりの違和感があります。多くの人が指摘しているように推進が遅れているのは事実で、なぜかと考えてグローバルの事例を照らし合わせると、そもそもの立脚点が違うような気がしています。象徴的なのがデータやデジタル技術の導入から考える傾向です。本質的には、デジタルとリアルが融合した社会になり、生活様式が変化していることが重要なので、「どのような暮らし・価値観を届けるのか」という体験価値、すなわち「届けるべきUX」を考える方が先に来るはずなのです。

──2020年7月に上梓された『アフターデジタル2 UXと自由』は、そうした状況に対する警鐘だったのでしょうか。

そのとおりです。僕は「UX型DX」という表現をしていますが、ユーザーインサイト(ユーザーの隠れた本音)に基づいていたり、UXが重視されたDX、ビジネス、サービスが当たり前にならないと、よい社会にはならないと考えています。困りごとの解決や、自己実現ができることより、デジタル化することが優先される社会って、あまり幸せじゃないですよね。ただ、『アフターデジタル2』を出したあと、そこへ着実に移行するためにも、私や私が在籍するビービットからの発信だけではなく、「UX型DX」に共感してくださる方々とムーブメントを起こしていきたいという思いが強くなってきました。


ビービット 執行役員CCO 兼 東アジア営業責任者

──「L&UX2021」は、その思いを実現する場として企画されたのでしょうか。

はい。やはり、ムーブメントにしていくには、実際に何かを実現しているビジネスリーダーやソートリーダーの"本物の共感から出てくる生の声"が必要です。『アフターデジタル』シリーズでもそうした声を紹介していますが、どうしても私のフィルターを通した形になってしまいます。そうではなく、実践者が「UX型DX」の重要性を表明し、それぞれの知見を交換して新陳代謝が活発化していく様子を、ダイレクトに目の当たりにできる場にしたいと考えました。

──“新陳代謝が活発化する場”とは、具体的にどういうイメージなのでしょう。

最先端のUXとテクノロジーを掛け算するような議論が、ひたすら更新されていくイメージです。すべてのセッションを対談形式にしたのはそのためです。実は、「グローバルで最先端の『UX×テック』の議論が展開される震源地」を日本で創出したいという思いは以前から強くもっていたんです。変革の意思をもつ人たちが「L&UXで起きていることに追いつかなければヤバいんじゃないか」と思ってもらえる域に到達するのが目標です。

「奇跡的なメンバー」を集めることができた


──平井卓也デジタル改革相も繰り返し言及するなど、最近は政府もUXの重要性を認識していることがわかります。そのなかで、「L&UX」はさまざまなポジションの人から関心を集めていますが、プレイヤーとマネジメント層では視点も異なると思います。そのあたりを意識した仕掛けはありますでしょうか。

はい、まさにそこを意識した2つのコンセプトを実は設定しています。1つは「UXドリブンな経営」です。UXを重視した経営とは何か、それがいかに世界で重視されているかを経営マネジメント層向けに議論する場にします。もう1つは、「UX実践者のノウハウ」。実際にUXをつくっている人たちが、どういうことを考えながらビジネスの現場で実践しているかというリアルな議論を展開します。

これは明確に提示していないのですが私が元々持っていたイメージでは、ステージを2つに分けるような想定でつくっています。Aステージでは経営の話、Bステージでは実践者の話。もちろん、経営者の方はAステージへどうぞ、という意味ではありません。経営者の方はAステージで話を聞きつつ、Bステージにも顔を出して実践者たちとネットワーキングをしていってほしいんです。そうやって、Bステージに登壇する実践者の方々にとって「L&UX」がキャリア形成の場になっていけば理想的ですね。

──そうすると、「L&UX」に参加する経営者の方にとっては、Bステージをヘッドハンティングの場にもできますね。当然、Aステージで経営者同士の交流も生まれるでしょうから、「UX型DX」をハブにしてアライアンスやパートナーシップが広がるきっかけにもなりそうです。

加えて申し上げれば、「L&UX」はもう1つの軸として「世界標準を見渡す」を据えています。普段なかなか耳にできない海外のトップリーダーたちの生の声を、しかも日本のトップリーダーとの議論の形で、日本語で見られる機会はいままでにもなかったんじゃないかと思うんですね。

──登壇者の選定の基準を教えてください。

私自身が、いま話を聞きたいと思っている人を集めました。もっといえば、「このテーマを議論するならこの人たちしかいない」と組み合わせまで絞り込んで交渉しています。私の中では奇跡的なメンバーを集めることができたと思っていますので、見逃さないでいただきたいですね。

変革者に有効な視点を提示し、背中を後押ししたい


──藤井さんは中国でビジネスをされていますが、「L&UX」には多くの国のリーダーたちが登壇します。

そこは非常に気をつけたところです。もちろん、中国系のリーダーたちはつながりも深いので呼びやすいのですが、そこだけに偏ると一面だけを見せているようにも受け取られてしまいます。多角的な視点が得られるように、アメリカや東南アジア、エストニアなどの北欧と幅広いエリアで活躍しているリーダーを集めました。

その意味では、日本人の登壇者もグローバルな背景をもっている方を集めています。たとえば、『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る』を一緒に描いたフューチャリストの尾原和啓さんはバリ島に住んだあと、シンガポールに移っていますし、リブライトパートナーズの蛯原健さんもシンガポールに住んでアジア圏を見ています。経営共創基盤(IGPI)の塩野誠さんは先日までフィンランドのヘルシンキに住んでいて、北欧や東欧に非常に詳しいんですよ。

──尾原さん、蛯原さん、塩野さんの3名が登壇するセッションもありますね。

はい。「テクノロジーとUXの世界潮流―日本から見えないゲームチェンジ―」と題したセッションです(5月19日18:00~)。グローバルで戦っている方たちから世界各国のゲームチェンジはどう見えるかをテーマにしていますが、各国の原理や国家戦略、社会状況などを踏まえていまの姿を見ていくと、かなり明確に違いが見えてきます。他のセッションも、同様に理解が深められる構造になるよう、相当気をつけました。DXの推進や企業変革、新たな時代に追いついた何かをしたい、イノベーションを生み出したいと熱望する方たちに、正しく有効な視点を提示したり背中を後押ししたりできる構成になっていると自負しています。

──何かを変えたい、イノベーションを生み出したいと思っていても、組織やさまざまなしがらみの壁にぶつかって悩んでいる人は多いと思います。

今回登壇いただく国内外のリーダーたちも、同様の課題を乗り越えてきた、もしくは現在進行系で乗り越えようとしている方たちなんです。取り組みの規模がどんどんスケールしてきて社会レベルになってきたとき、街づくりが典型例ですが、行政やレガシーな大企業とやりとりをしなければなりません。UXドリブンで物事を考えることが浸透していないことを強く実感し、危機感をもっている方たちばかりなんです。

たとえば、ゲームチェンジのプロセスで即黒字化させるのは現実的ではありません。しかし、レガシーな大企業とやりとりをしていると「じゃあそのプランは単月でいくらの売上が期待できるの」という話をされてしまうわけです。それはUXドリブンとはかけ離れたロジックですから、もっと根本的な部分から理解を広めなければならないな、とリーダーたちも常時痛感しています。だからこそ、今回のオファーに応えてもらえたと思っていますし、そういったリアルな戦いに触れることで、参加者の方々に勇気をもってもらいたいですね。

UXやDXというと、Webの世界で小さく取り組んでいることだと受け取られる風潮もまだまだあると思いますし、組織内で理解されないという思いをもっているビジネスパーソンの方もたくさんいると思います。でもそうじゃないんだ、「UX型DX」は社会を大きく変えることなんだというムーブメントを起こして、そうした方々を応援していきたいですし、ぜひセッションで得た知見を周囲にフィードバックしていっていただきたいと思っています。

L&UX2021(Liberty and UX Intelligence)
https://liberty-ux.com/


ふじい・やすふみ◎1984年大阪府生まれ。東京大学大学院修了。上海・台北・東京を拠点に活動。国内外のUX思想を探究し、実践者として企業・政府へのアドバイザリーに取り組む。著作『アフターデジタル』シリーズは累計15万部を突破。AIやスマートシティ、メディアや文化の専門家とも意見を交わし、新しい人と社会の在り方を模索し続けている。2021年5月、UXの有識者が世界中から参加するオンラインカンファレンス「L&UX2021」を開催。

Promoted by ビービット / 文=高橋秀和 / 写真=後藤秀二 / 編集=高城昭夫

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