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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

急ピッチのワクチン接種が進み、ラスベガスの経済も回復の兆しを見せている(Josh Brasted/Getty Images)

新型コロナウイルスに対するワクチン接種政策をアグレッシブに進めてきたアメリカは、いよいよ暗いトンネルを抜けようとしている。

前政権時代から加速させて、ワクチンの接種率を政策の目標に掲げてきたジョー・バイデン大統領は、7月4日の独立記念日までに、成人の7割までワクチン投与を達成するという新たな目標を掲げた。

すでに56%の成人がワクチンを接種していることを考えると、アグレッシブとはいえ、その目標は十分射程距離にある。

州によってスピードにばらつきがあるが、もはやワクチンが足りないとか、ワクチンの提供スピードが遅いなどという声はほとんど聞かれなくなった。

いまワクチンを打たない人たちのほとんどは、アレルギー反応を気にしたり、自らの信条を理由にしたりして、意図的にワクチンを打たないと決めている人たちだと言ってよい。

実際、筆者の大学生の娘も、すでに2回目のファイザーのワクチンを打ち終わっていることからも、ワクチンにおける物流の問題はほぼ終わったと考えていいだろう。

ベガスの本格的カムバックは2022年末か


筆者の住むラスベガスでも、5月5日からさらに最終の投与を進めるべく、ドライブスルーワクチンがスタートした。

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車の座席に座りながらワクチン接種を受ける人々。写真はボストンの様子(Getty Images)

つい1カ月前は、数週間前から予約をし、会場に出かけても数時間は待つという状況だったことを考えると、このワクチン接種の加速度は目を見張るばかりだ。

レストランなどの飲食店も、これまでネバダ州の法律では「定員の50%キャパシティー」としてソーシャルディスタンスにつとめてきたが、6月1日からはそれも100%に戻すことが予定されている。他の州でも似たようなスケジュールでどんどん規制緩和が進んでいるようである。

またネバダ州では、ワクチンを接種した人はもうマスクをしなくてもよいという条例が検討されている。マスク文化がまったくなかったアメリカでは、この「にわかな習慣」から解放されることは、大きな喜びを持って受け止められているようで、夏に向かって地元の雰囲気はとても明るい。

世界中がほとんど同時にコロナ禍に巻き込まれたわけだが、当初アメリカは科学的な根拠なく対策を怠り、世界で最悪の被害国となった。しかし、急ピッチなワクチンの開発とその圧倒的な物流のアレンジメント、そして各種経済政策をまとめて、株価を下支えするどころか、上昇まで果たしたのは、特筆すべきことだと思う。

世界の2大格付け会社の1つ、ムーディーズの公共部門リサーチのディレクター、ダニエル・ホワイト氏は、「ラスベガスの本格的カムバックは2022年の年末だろう」と控え目な予測を立てながらも、「バイデン政権が想定以上のスピードでワクチンの接種を進めたので、これが景気回復を加速させている」と分析している。

折しもラスベガスでは、開業19年目にコロナ禍で閉鎖を余儀なくされたPalmsホテルを、5年前に購入していたレッドロックリゾート社が、倍以上の650億円で売却する相手が見つかったというニュースが耳目を集めた。本当に久しぶりの、いかにもラスベガスらしいバブルな経済の話題だった。

文=長野慶太

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