マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置くNeurableは、2017年にミシガン大学で神経科学の博士号を取得したAlcaideとAdam Molnarによって設立された。現在、同社でパートナーシップ責任者を務めるMolnarは、過去にフォーブスの「30アンダー30」に選出されていた。
「Neurable」のCEO、Ramses Alcaide (c) BRIAN KAISER
Alcaideは、脳とコンピュータをつなぐ「ブレイン・コンピュータ・インターフェース」をコンシューマー向け商品に導入することを目指しており、第1段階として脳波を計測するフィットビットのような製品を開発した。
「Entenを使うと、周囲の物事が仕事のパフォーマンスや集中力や生産性にどのような影響を及ぼすかを把握できる」とAlcaideは話す。彼によると、脳がどのように機能するかを知ることで、パフォーマンスを向上させることが可能になるという。例えば、ある被験者は、Entenを使ったことで朝の方が生産性が高いことや、昼食を遅く食べた方が生産性が上がることが分かったという。他にも、休憩を取ることがパフォーマンスに与える影響を測定することも可能だ。
Entenの発売開始は、2022年春の予定だが、クラウドファンディングのIndiegogoでは既に予約受付を開始しており、価格は199ドルとお買い得だ。Alcaideによると、初期生産分の資金は確保できており、クラウドファンディングを実施した理由は、商品のマーケティングと関心度の高さを測ることにあるという。
Pitchbookの情報によると、NeurableはM VenturesやQuest Venture Partnersなどから1400万ドル(約15億円)を調達。Entenの販売開始後、取得したユーザーデータを活用して新たなアプリや機能を開発する予定という。例えば、同社はスポティファイのAPIを使って、プレイリストの中で集中力を高める楽曲と、気を散らす楽曲を把握できる機能をテストしている。また、脳波からユーザーの集中力が高まっていることがわかると、ヘッドフォンが電話の着信やメールの通知をしないようにする機能も開発中だ。
「会社としてより大きな目的を達成するための第1ステップを実施している最中だ」とAlcaideは述べた。