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米バイデン政権は先日、世界貿易機関(WTO)が新型コロナウイルスワクチンに対する知的財産保護の一時的な解除を提案したことに対し、支持を表明した。これにより、世界ではワクチンの生産が加速する可能性がある。

この提案はインドと南アフリカによるものだ。バイデンには、提案を支持するよう非常に大きな圧力がかかっていた。特許が放棄されれば、製薬企業は成功を収めたワクチンの製造方法に関する厳重に守られた秘密を利用できるようになる。

提案の支持者らは、これにより発展途上国でのワクチンの供給量が増え、値段も下がると主張している。一方製薬会社は、特許を放棄しても供給の障壁はなくならず、イノベーションが妨げられるだけだと主張し、新型コロナウイルスワクチンの特許を一時的に放棄させるあらゆる動きに反対の声を上げてきた。

製薬業界だけではない。トランプ元大統領や英国、欧州連合(EU)も特許の放棄に反対していた。

感染が拡大している地域ではより危険な新型コロナウイルスの変異株が出現し、既存のワクチンの効力が損なわれてコロナ渦が長引く可能性があることから、特許放棄に関する議論の緊急性が増している。

提案の支持者らは、新型コロナウイルスワクチン製造企業の大半は、研究開発(R&D)のための多額の公的資金の注入がなければこれほど迅速にワクチンを開発できなかったはずだと盛んに指摘してきた。

ジュネーブの国際・開発研究大学院グローバルヘルスセンターが運営する情報サイト「イノベーションと医薬品へのアクセスに関する知識ポータル(Knowledge Portal on Innovation and Access to Medicines)」がまとめたデータによると、ワクチンの生産に成功した企業には数億ドル(数百億円)の資金が投入されてきた。

新型コロナウイルスワクチンの研究開発への投資額が最大だったのは米国とドイツで、それぞれ約20億ドル(約2200億円)と約15億ドル(約1600億円)を注入した。さらに、2021年3月までに行われた約59億ドル(約6400億円)の投資の98.12%は公的資金だ。

こうした資金は主に民間企業に提供され、モデルナとヤンセンは両方9億ドル(約980億円)以上受け取っている。また、米国で初めて使用が承認されたワクチンの開発企業ファイザー・ビオンテックは、研究開発資金として約8億ドル(約870億円)を受け取った。

これら3社に投資された資金は実質的に、全て公的資金によるものだ。

翻訳・編集=出田静

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