AI時代、日本人が世界の下請けマシンにならないための秘訣とは

NeuralX 仲田真輝

進化する個人の働き方、変革を続ける企業、変化する個人と組織の関係性、この3者の交差点は、いまどこにあるだろうか。

4月24日発売のForbes JAPAN6月号では「新しい働き方・組織」論を特集。

ビジネスとは異なる分野の専門家たちの取り組みや哲学から見えてくる、新しい時代の組織や働き方とは──。

ロサンゼルス在住の起業家で、運動解析と生体力学的人間シミュレーションの技術に基づくオンラインフィットネスサービス「Presence.fit=(プレゼンス・フィット)」を展開するNeuralXの創業者、仲田真輝氏に聞いた。


──久しぶりにご帰国されてみて、日本の「組織」や「企業」について感じられたことは。

NeralX 仲田真輝(以下、仲田):今回、日本に滞在してみて改めて感じたのが、東京は未だにオフィスに出社したり、日本ならではの体質があると思いました。私が現在住むロサンゼルスだとパンデミック下でリモートワークが主流になり、弊社もオフィスに行っているのは1人。残りの人は皆、1年間リモートで、それでもチームとしてワークしています。

根本的なポイントは、個人が主体なのか、組織が主体なのかということだと思います。アメリカは、西と東の違いはありますが、基本的にはやっぱり個人が主体なんですよね。個々の集まり、その様々なプレーヤーの集まりによって組織が出来上がっている。個人にしても、仕事を探すときは、キャリア・ディベロップメントをいかに形成できるか、そのために自分が何を得られるのかを気にしますよね。

経営者としては、そういう個人に対して、何か一回成し遂げてから主張しろと思うこともありますが、自分という「ピース」がそこで3〜5年の間に何を得られるのかを考えている人が多いです。5年以上、企業に残るということを現実的に思ってる人がいないんですよね。会社もどんどん変わっていき、強者弱者もどんどん変わっていく。今回のパンデミックもそうですよね。自分がいつ切られてもいいように、動ける態勢にしておくというのがアメリカの良いところだと思います。

その結果として、個々のモチベーションも上がるし、自らの能力を最大限に発揮、レピテーションを上げて、次のジョブに行くときに、チームの人がリファレンスを書いてくれるようにするなど、良い流動性が高まることに繋がっていると思うんです。

あとは、教育ですね。人間は一律ではない中で、それぞれの良いところを伸ばしていく、それがアメリカの教育で、日本は義務教育があって一律にやっていくことを教えられている。この価値観の違いが、働き方の違いになっているのではないと根本的に思います。
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インタビュー・構成=谷本有香

この記事は 「Forbes JAPAN No.082 2021年6月号(2021/4/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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