コロナワクチン接種は有効か? 日本にも「スピード感」が必要な理由|#U30と考える

連載「U30と考えるソーシャルグッド」 ゲストは、日比谷クリニック副院長の加藤哲朗医師


ワクチン接種は任意 受ける価値は


ワクチン
世代間でもワクチン接種に対する意識の差があるといわれる(GettyImages)

NYNJ続木:ワクチン接種についての意識には世代間のギャップがあると思います。そもそもなぜワクチンを打つべきなのでしょうか。また新型コロナの感染症対策について、若い世代にはどのようなメッセージを発信されたいですか。

加藤:ワクチン接種を強制はできないので、あくまで任意なので受けたい人は受けていただければありがたいです。やはり、日本人の根底にあるワクチンに対する不信感は何十年にもわたって積み上げられたことなので、認識を急に改めるのは難しいです。

ここで考えてほしいのは、なぜワクチン接種という医療行為が、副反応もありながら何十年も残り続けて世界中で行われているかということです。これは、取りも直さず、総じてワクチンのメリットがデメリットを上回る、安全性と有効性が十分許容できるデータになっているからこそ、ということになります。当たり前の話ですが、それが証明されなければとっくに淘汰されてしまっているはずです。

ソーシャルディスタンスやマスクなどの予防手段は、人間がすることなので完璧に、また永久にできるものではありません。ワクチン接種はその助けになる手段だと思います。人によっては副反応が出るかもしれないけれど、対応方法もわかってきていますし、留学の際のワクチン接種と同じく、ワクチンを受けることが自分のためだけでなくコミュニティ・社会全体のためにもなる、という意味で受ける価値は高いのではないでしょうか。

個人的には、緊急事態宣言などの社会的な措置と並行して、国と連携しながら各自治体でより多くの希望する人に、より早くワクチンを打てる体制を整える方が、現在の新型コロナウイルス対策のなかでも最上位の優先事項にするべきくらい重要度が高いものであると考えています。

取材を終えて


コロナ前の生活を取り戻しつつある国もある中で、私たち若い世代がワクチンを打てるのがいつになるのかも分からない日本。そもそも日本人の意識の根底に海外との違いがあることは、私にとって新しい発見でした。無知の状態でワクチンを拒絶するのではなく、ワクチンを受ける意味を理解した上で、接種するかしないかを判断することが重要であると感じました。



加藤哲朗◎日比谷クリニック副院長。1999年東京慈恵会医科大学卒業。同年より東京都立駒込病院で研修。2004年より東京慈恵会医科大学附属病院感染制御部、2012年より同大学附属柏病院感染制御部診療医長および感染対策室副室長、2015年より同大学附属病院感染制御部診療医長、同年9月より日比谷クリニック副院長となり、現在に至る。東京医科大学病院感染症科の非常勤医師も務めている。


連載:「U30と考えるソーシャルグッド」
過去記事はこちら>>

文=続木明佳(NO YOUTH NO JAPAN)

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事