北野:そして、その日の夜すぐにユーチューブライブを通じた企業説明会を構想。「反対されたら自腹でやるか」と決めて、翌日には取締役会で話をしました。結局、全員が賛同してくれて、昼にはもう責任者とチームが決まり、ライブ配信をしている企業にヒアリングし、手応えをつかんで企画書にまとめました。
すぐに営業チームが大手企業2社に連絡してくれて、出演が決定。翌日にはリリースを出して、たくさんの企業が集まってくださる「ワンキャリア ライブ」ができあがったのです。1、2日の間に、事業がカタチになっていました。
『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』著者、ワンキャリア取締役北野唯我
守屋:北野さんもまさにコロナ禍で動き続けたことによって、道が拓ける経験をしていたのですね。これは、コロナになってピンチになってから突然動き、どうにか乗り切ったというよりは、これまでもずっと動き続けてきたことにより、新型コロナウイルスの蔓延で世間がストップする中でも動き続けることができた、ということなのだと思います。
北野:セルムの例もそうですが、ユーチューブを使った「企業説明会ライブ」を実施してみると、メリットがたくさん見えてきたんです。まず、地方部の学生がわざわざ東京に来なくても聴講できるようになりました。企業側にとっては、これまで200〜300人にしかアプローチできなかったのがオンラインにすることで一挙に数千人の学生にアプローチできるようになりました。
しかも、アーカイブが残るので都合に合わせて見てもらうことができ、何度も繰り返して確認してもらえる。生産性が爆発的に上がったんです。これは絶対に事業になると確信しました。
「意志ある事業」と「模倣事業」の差は、魂だ
北野:『企業は意志が10割』に守屋さんが書いていらっしゃる、事業のフェーズごとのイシ、コト、ヒト、カネの割合の変化についてはとても納得させられました。最初はイシが10割でスタートし、続いて、事業の構想であるコト、さらに意志に呼応してくれるヒトが必要となってくる。ワンキャリア ライブもまさにこのステップによって実現できたと思います。この図だけで、10万円以上の価値あると思いましたね。
【図1】イシ・コト・ヒト・カネの5つのステップ(出典:『起業は意志が10割』(講談社))
守屋:ありがとうございます(笑)。僕は起業で一番大切なのは、「意志だ」と言い続けています。意志なく模倣で事業をしようとしている人は途中で、心が折れたり、手を抜いたり、飽きたりしてしまいます。本当に強い意志を持っていると、困難を突破して頑張り続けられますよね。
北野:実はこのサービス自体は、後追いで真似されたんです。我々がリリースを出して2〜3日後だったと思います。ユーチューブでの配信は、参入障壁が低いですからね。今後、続々と参入してくることが予測されたので、次の次の次の手まで打って封じ込もうとしました。