「後輪駆動セダンの火を灯し続ける」という想いが具現化── LEXUS IS300h "version L"

LEXUS IS300h "version L"

販売数でいうと、はっきりいって、セダンはSUVに負けている。だからといって、セダンはもうつくらない、なんて自動車メーカーが言い出したら、大事な趣味の道具でもあるクルマの世界は、たいそう色あせて見えてしまうだろう。

そこで、自動車好きとして応援したいのがレクサスだ。いいセダンをつくることへの懸命さを感じるからだ。2020年11月にリニューアルされた「レクサスIS」は好例。新型車か、と思うほどスタイリングがリフレッシュされたと同時に、クルマの土台であるプラットフォームや足まわりを含めての大きな改良で、見事な出来栄えなのだ。

セダンの良さに振り返ってもらいたい。そのためにも後輪駆動セダンの火は消さないというレクサスの想いがこの新しくなったISには込められている。

ISとしては3代目にあたる現行モデルの発売は、2013年。性能ばかりでなく、挑戦的なデザインとぜいたくな装備が、自動車好きの関心を引きつけてきた。

今回、足まわりは、ホイールの締結にレクサスとして初めてハブボルトなる部品を採用。コストがかかり他社が二の足を踏む部分だが、レクサスはあえて取り組んだ。ステアリングホイールを切ったときに“クルマとの一体感”を感じる気持ちよい走りが実現している。

ISというと、スポーティなバージョンである「Fスポーツ」もあるものの、快適な乗り心地の「バージョンL」という選択肢もよい。例えば「IS300h」は2.5ℓエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドで、走り出しからスムーズ。しかし一度走りたいと思ったら、ドライバーの意図通りに、レスポンスよく走る。静かで穏やかな走りから、アグレッシブで爽快な走りまでも楽しめるのだ。

エンジニアのこだわりのかたまりのようなセダンである。だから所有することに喜びを感じる。そこが大きな魅力だ。



LEXUS IS300h "version L"

駆動形式|後輪駆動
全長|4710mm
全幅|1840mm
全高|1435mm
最高出力|131kW(178PS)/6000rpm
価格|6000000円
問い合わせ|レクサスインフォメーションデスク 0800-500-5577


COLUMN 進化を続ける電動化、楽しみな新技術の導入も




リッターあたりのCO2排出量を減らすべく、欧米では電動車(HV・PHV・EVなど)が増えている。一方、モーターを駆動力に使うと、ごく低速でも力が出るし、加速もスムーズ。これまでグローバルで190万台以上の電動車を届けてきたレクサスでは、20年に発売した「UX300e」のように、モーター駆動車の開発にも余念がないようだ。

モーター駆動には、もうひとつ、メリットがある。駆動力の制御が緻密にできる点だ。レクサスでは19年の東京モーターショーに「LF-30 Electrified」を展示。4輪にモーターを仕込んで、自在に駆動力をコントロールすることで高い操縦性を目指したコンセプトモデルだった。朗報は、これが絵空事では終わっていないこと。レクサスでは、「DIRECT4(ダイレクトフォー)」として、モーターによる4輪制御技術の開発を継続中。クルマ好きにはこれが楽しみだ。

photographs by Tsukuru Asada(secession) | text by Fumio Ogawa | edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.081 2021年5月号(2021/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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