科学者らが木材から発電する方法を発見 今後は実用化が課題に

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ETHチューリヒ校の研究者らの成果が商業的に利用されるようになるまでには、脱リグニン処理を受けた木材が圧電性を維持したまま何回の圧縮に耐えられるかの見極めなど、課題解決のための研究が必要となる。

さらに、菌類を使って意図的に剛性を下げた木材が建材として果たして有益なのかという疑問もある。未来のエンジニアらは建物のエネルギーを活用する上で、ペーブジェンが使用しているような金属の発電センサーを単にビルに挿入する方がより現実的だと考えるかもしれない。

ETHの画期的な研究は、木材が持続可能な頼れる建材としてますます多くの専門家に再発見されていることを示している。その用途は、さまざまな種類の木材から成る複合材料の使用から、耐震・耐火性のある数階建ての建物の建設までさまざまだ。

米森林局(USFS)の研究機関、林産研究所(Forest Products Laboratory)のボブ・ロス副所長は取材に対し「こうした分野は現在、私たちの研究室で非常に盛んに議論されている」と述べた。

ノルウェーの街ブルムンダールには、CLT(直交集成板)、あるいは「マスティンバー」と呼ばれる革新的な新たな建築法を使った世界で最も高い85メートルの木造ビルが建設された。

またシカゴの建築家らは、それをはるかに超える230メートルの高さの木造タワーの建設を目指している。同建築法の支持者らは、木材を交互に異なる方向に重ねることで鋼に近い強度が得られると主張している。

持続可能な森林から調達された木材は、鋼やコンクリートのような素材よりも環境への影響が小さい。鋼とコンクリートは、合わせると世界の二酸化炭素排出量の約8%を占めている。それでも反対派は、木材への需要が皆伐につながらないようにすることは難しいと指摘している。

翻訳・編集=出田静

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