しかし筆者は、アップルがそのようなiPhoneを発売することは間違いであるだけでなく、同社のポートフォリオに関する考え方にそぐわないと考えている。
アップルは、人々が折りたたみ式の携帯電話を欲しがる理由について、明確な答えを持っているのだろうか。折りたたみ式のスマホには多くの妥協点があり、コストも高くなり、耐久性の面でも問題を抱えたものになる。
フォルダブル端末が台頭した理由についての、筆者が最も納得できる説明の一つは、これらのデバイスが21世紀のショーケースとして使われるように設計された、とんでもなく強力なパワーを秘めたスーパーカーだというものだ。Computerworldの寄稿者のJRラファエルは次のように述べている。
「現在の折りたたみ式端末は、主に各社のブランディングのために存在している。これらのデバイスは、優れたエクスペリエンスを提供することよりも、それを製造した企業が革新的であることを示すために存在している」
これは、アップルがやるべきことなのだろうか。筆者はそうは思わない。
アップルがR&D部門のどこかで折りたたみ式のiPhoneを開発していることは間違いないだろう。彼らはその端末のプロトタイプが、どのように機能するか、アップルのエクスペリエンスにふさわしいものかどうかを確認しているはずだ。
しかし、アップルは他社が導入したからという理由で、新たな技術を自社製品に持ち込むことはしない。近年は、タッチスクリーンを搭載したノートパソコンが人気だが、MacBookのプラットフォームは今も、その機能を導入していない。彼らが折りたたみ式端末を発売するとしたら、それは明確なユースケースが見い出せてからになるだろう。
ただし、5月2日のMacRumorsに掲載されたクオの折りたたみ式iPhoneに関する予測には、興味深い点もある。この端末は、2023年の発売が予想されており、実現すればアップルはサムスンから約4年半遅れで折りたたみ式のiPhoneをデビューさせることになる。
筆者としては、今回のリーク情報がアップルにもたらす最大のメリットは、他社製の折りたたみ式端末の販売に打撃を与えることだと考えている。結局のところ、もしアップルがこの分野に「間もなく」乗り込むのであれば、消費者はアンドロイド端末には手を出さず、iOSのエコシステムにとどまることになるからだ。