ニューヨーク市/Getty Images

米ニューヨーク市はいまや、デジタルヘルス分野の投資が集中するメッカだ。ニューヨーク市を拠点とするデジタルヘルス企業64社が2021年第1四半期に調達したベンチャー資金は、合計24億ドルという記録的な額となった。

2021年4月にこの報告を行った「NYCヘルス・ビジネス・リーダーズ(NYC Health Business Leaders)」の共同創業者で最高経営責任者(CEO)バニー・エルリン(Bunny Ellerin)は、「2020年には、同じ額に達するまで9カ月を要した」と話す。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大きな転換点となったのは間違いない」

資金を調達した企業の多くは、パンデミック前から十分な資本を有していた。90%近くは、資金調達ラウンドで、すでにシリーズBかその先に進んでいた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、新たなソリューションの規模拡大が必要となった。

「パンデミックの発生により、新しいタイプのサービスモデルや決済モデルが必要であり、ヘルスケア制度における不平等への新たな取り組みが必要であることが明らかになった」とエルリンは指摘する。

報告書によると、ニューヨーク市を拠点とするデジタルヘルス分野のスタートアップ174社は、2020年に合計36億ドルのベンチャー資金を調達し、2019年比で40%増となった。その資金の半分以上は、バーチャル医療サービスを手がける企業へと流れ込んだ。こうした動きは2021年第1四半期も続いている。2021年は、これまでに13億ドルがバーチャル医療企業に投資されている。

最も多額の資金を調達したのは、オンライン初期診療と薬局サービスを提供するスタートアップ「ロー」だ。創業3年半の同社は、シリーズDラウンドで5億ドルを調達。評価額は50億ドルとなった。

医療費請求の透明性を高めて患者の理解を支援するソフトウェア企業「シーダー(Cedar)」は、シリーズDラウンドで2億ドルを調達した。

3月にシリーズCラウンドで1億ドルを調達してユニコーンとなった「ライトウェイ(Rightway)」も、患者の薬剤費負担を全般的に減らそうと取り組む企業だ。

投資家たちは、患者が抱える直接的な医療ニーズだけでなく、患者が生活を営むうえで必要とする食料や交通手段、住居などに取り組む企業にも資金を提供している。シリーズCのエクステンション(追加拡張投資)で1億9200万ドルを調達した「シティブロック・ヘルス(Cityblock Health)」は、低所得者向け公的医療保険「メディケイド」の加入者のうち、複雑なニーズを抱える患者の支援を、医療保険会社と提携して行なう企業だ。

また、シリーズCラウンドで1億5000万ドルを調達し、評価額16億ドルとなった「ユナイト・アス(Unite Us)」は、医療機関、保険会社、州政府や地方自治体、フードバンクや仮設住宅の提供といった社会福祉事業をつなぐソフトウェア・プラットフォームを運営している。

2021年は、記録的な資金調達額を達成する年になりつつあるが、本番はこれからだ。ニューヨーク市を拠点とするこれらの企業は今後、医療のコストと質を巡って大きな変化をいかに起こしていくかが試されることになる。

「企業側は、資金を調達するために掲げた約束を果たしていかなくてはならない」とエルリンは言う。「次の段階は、企業が資本をどう活用し、どのようにして医療に本格的なインパクトを及ぼすのかを見守ることだ」。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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