2021年4月6日に発表された「フォーブス世界長者番付」で、シュワルツマンは資産額219億ドルで79位にランクインしている。ところが、その直後に資産額はさらに49億ドルも増加した。ブラックストーンによる世界的な投資が相次いだのがその理由だ。
たとえば、インドではまもなく、7億2000万ドル規模の不動産を一括取得する計画だという。シュワルツマンの代理人は、このインドでの計画についてコメントを避けた。そして、同社株が記録的高値を付けたことについては、4月22日に発表された第1四半期決算を参考にしてほしいと述べた。
ブラックストーンは今回の第1四半期決算で、17億5000万ドルという記録的な利益を計上した。その背景には、出会い系アプリ「バンブル」への投資や(ブラックストーンは2019年、バンブルの運営会社マジックラボ株式の大半を取得した)、家系調査サービス会社アンセストリー・ドットコム(Ancestry.com)の買収(2020年に47億ドルで買収)などがある。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によれば、ブラックストーンが保有する未公開株は、直近四半期で、S&P 500と比べて3倍近く上昇した。シュワルツマンが保有するブラックストーン株は全体のおよそ20%で、同氏の総純資産の4分の3を占めている。
ブラックストーンはまた、多数の不動産を所有しており、その規模は世界有数だ。管理している投資家の資金は1960億ドルに上る。
同社は2021年4月、シンガポールの有名オフィスビル「サンドクローラー(Sandcrawler)」を1億3200万ドルで購入したばかり。広さ17万3000平方フィートで、映画『スターウォーズ』に登場する巨大輸送車を模した建物だ。さらに、日本にもホテルを多数所有しているほか、米ニューヨーク市では最大の賃貸物件所有企業でもある。
ブラックストーンはこのところ買い物三昧で、インドITサービス企業エムファシス(Mphasis)の株式26%を11億ドルで追加取得することが報じられたばかりだ。3月には、豪カジノ大手クラウン・リゾートに対し、約60億ドルの買収提案を行っている。
同じく3月には、スターウッド・キャピタルと提携し、米ホテル運営企業エクステンデッド・ステイ・アメリカを60億ドルで買収することで合意した。4月25日には、イスラエルのテルアビブでオフィス開設の準備を進めていると発表。活況を呈するイスラエルのテクノロジー分野への進出を見据えている。