AIを「育てる」なら6つの新リスクに対処せよ──2021年がAI普及元年となるワケ

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2021年がAI普及元年となるワケ#2では「AI活用は日常となるか?」と題して、2021年にAIが実ビジネスとどのように関わり、世の中を変化させていくかを説明しました。特に「AI導入の3つの壁」への注目度は高く、試験的にAIを導入してみる、ではなく、本格的にAIをフル活用して自社の力としたい、という声も寄せられました。そこで今回は「本当にビジネスに貢献するAIの使い方」を中心に解説します。

AIに「育成」が必要な3つの理由


AIの導入において特に意識すべきは、AIの導入をゴールとしてはならないという点です。何のために、どのようなAIを使うのか。経営者が主体となって自社のビジネス目標に応じた業務の自動化・高度化を目指す必要があります。そのようなプロセスでAIを選定・導入・運用していくことで、自ずと自社の業務のあり方の見直しや基幹システムの刷新を視野に入れた取り組みとして具現化します。

AIは現在も発展が続いているテクノロジーですし、様々な業界・企業で実践的な応用が進んでいます。ですのでただ単に待っていても何のメリットもありません。今あるAIをすばやく自社に取り込んであらゆる業務に利用し、現場と経営層の間で協調しながら「育てる」ことがポイントです。

「AIを育てる」とは、具体的にはトライアル&エラーでクイックに進めていくことが成功のポイントです。その理由は3点あります。

●理由1 AIはデータを学習させることで何が正解かのモデルを獲得するため。
●理由2 スピーディに概念実証を行い、自社に適合するかどうか、要件を満たすかどうかの素早い見極めが重要であるため。
●理由3 自社のビジネスに有効な技術やプレイヤーを選別する必要があるため。

AIパートナー企業の「選定」におけるポイント


効率的にAIを育てるには、知見を持ったパートナー企業との協業が必要です。どのようにしてパートナー企業を選定するか。その見極めのポイントは、「自社の変革に必要な要素を持っているかどうかの把握」に尽きます。

たとえば、そのパートナー企業においてAI専門家は組織化されているか。単にデータサイエンティストが在籍しているだけでなく、データを基に新しいビジネスやサービスを創造するノウハウがあるか、AI活用を実際のビジネスや業務まで落とし込めるエンド・ツー・エンドでの対応力があるかどうかといったところが観点です。

アクセンチュアにおいてAIサービスの中心的なソリューションとなるのが「AI Hubプラットフォーム」という考え方です。AIはいま、細分化された専門領域に特化しているものが主流であり、AIサービスを提供するAIベンダーも我々と連携している企業に限っても数百社以上がひしめいていることから、自社に最適なものを探し出すのは至難の業です。多種多様なAIエンジンから最適なものを組み合わせることができるプラットフォームが、個々の状況に合わせたAIサービスにつながります。

●AI Hubプラットフォームの考え方

複数のAIエンジンから最適なエンジンを組み合わせ、人間のオペレーターとの協調も可能なプラットフォームが必要だ。
AI Hubプラットフォームの図

AIのHub - AIエンジン群の指揮者・編曲家

さまざまなAIエンジンを統率するソフトウエアフレームワークとAIアダプタ群。日進月歩のAI関連技術(自然言語対話、音声認識、画像解析など)を適材適所で配置し、技術進歩やトレンドに合わせて柔軟な置き換えを実現。

情報のHub - 情報の一元管理

すべての情報がAI Hubを経由することで、各社AIクラウドサービスに依存しない形で学習データやノウハウを蓄積。接続AIソリューションの置き換えも可能。

人とAIが連携するHub - 人とAIを適材適所で連携

人とAI技術、それぞれの強みを理解した上で、最適な組み合わせを実現。

業務自動化のHub - 豊富な業務知識を基にしたオペレーション

さまざまな業種・業界における業務スペシャリストが導き出した最適なオペレーション業務・環境をAI技術を組み合わせて提供。

アクセンチュア作成


プラットフォームを提供するだけでなく、アクセンチュアでは業務内容に合致するAIを組み合わせ、その時々で実現できるベストな形での業務適用型のサービスとして「AI Powered サービス」(詳細はこちら)を提供しています。
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文=保科学世(アクセンチュア)

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