商業用不動産の所有者向けに管理ソフトなどを提供する米VTSは先ごろ、国内のオフィス市場に関する月次報告書を発表。それによると、今年3月の需要はパンデミックが発生する前の過去の同月の平均と比べ、29%少ない水準となった。今年1月にはマイナス60%だったことから、わずかな期間のうちに大幅に回復していることが分かる。
VTSの共同創業者で最高戦略責任者のライアン・マジエロはこうした傾向について、「オフィスは死んだ、と言われたが、そう思われていただけだった」と述べている。
VTSは入居するオフィスを探している企業などと、実際に空室になっているオフィススペースに関するデータを比較することにより、需要を推計している。同社の最新の報告書に示されているのは、商業用不動産の所有者と潜在的なテナントの双方に、「慎重ながらも楽観的」な見方が広がり始めていることだ。
新型コロナウイルスの感染の第4波に襲われるなど、大きな混乱が発生しない限り、需要はパンデミック前のレベルに戻る可能性があると予想している。
報告書は全米の商業用不動産に関するデータを収集し、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンDC、シカゴ、ボストンの主要7都市を中心としたエリアごとに結果をまとめている。
シアトルは需要増
最新の報告書で、需要が最も大きく回復していたのはシアトルだった。過去の3月のオフィス需要の平均と比べ、1%増加していた。オフィスを探していたのは主に、テクノロジー関連の企業だったという。
ニューヨークでは、需要は同24%減となった。サンフランシスコとシカゴはそれぞれ、26%、31%減少している。ただ、パンデミックが猛威を振るっていた間にはこれらすべての都市で、需要は少なくとも50%減少していた。そのころと比べれば、大幅に改善していることは明らかだ。