Close RECOMMEND

朝日新聞外交専門記者


もちろん、課題もある。独自の戦闘機を作ろうとした韓国に対し、米国は良い顔をしなかった。韓国は開発に必要な25種類の技術について米国に提供を求めたが、米国はAESAレーダーなど4種類の技術提供を拒否した。米国は韓国の同盟国だが、「リンク16」と呼ばれる米軍の情報共有・伝達機能システムをポラメに搭載することを許すかどうか、わからない。搭載できなければ、朝鮮半島有事の際、米韓で行う連合航空作戦に支障が出る可能性がある。また、ポラメは中国空軍の最新鋭戦闘機には太刀打ちできないだろう。米国は「韓国は中国と戦う考えがないのだ」と考えるかもしれず、北朝鮮への対応を巡って揺れている米韓同盟がさらに弱体化するかもしれない。

そして、韓国が新たに開発した戦闘機・ポラメの成果と課題は、そのまま日本が抱える問題に置き換えることができる。日本はすでに110年前の1911年、国産機「会式一号機」の公式初飛行に成功した。世界的に有名なゼロ戦(零式艦上戦闘機)の初飛行は1939年だった。日本の航空機開発技術がまだまだ韓国の上を行っている背景には、こうした長い歴史の蓄積がある。

その一方、戦後長く続いた「武器輸出3原則」の制約から、日本の防衛産業は「お得意様は自衛隊だけ」という状況に長く置かれた。自衛隊の知人はかつて、視察先の広い工場で、ラインにポツン、ポツンと置かれた製作途中の戦車の姿を見た。同行した企業関係者は「予算さえあれば、もっと良いものを作ってあげられるのに」と残念そうに語ったという。韓国よりも厳しい安全保障環境もあり、「多少レベルは落ちても、安価な兵器」を作るというわけにもいかなかった。近年、採算が取れずに防衛産業から撤退する日本企業も相次いでいる。同盟国の米国が、日本独自の兵器開発を歓迎することもなかった。

このため、今の日本に、韓国を上回るほどの「独自の戦闘機を開発してやろう」という意欲があるかどうか怪しい状況になっている。韓国の専門家は「ポラメは、ステルス機の第5世代ではなく、4.5世代プラスαという位置づけ。でも、技術開発が進めば、ステルス機開発に移行できる基礎は作ることができた」と語る。日本の専門家は「まだ、日本の技術が上だが、ボヤボヤしていると韓国に追い抜かれる日が案外早くやって来るかもしれない」と語った。

過去記事はこちら>>

文=牧野愛博

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ