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朝日新聞外交専門記者

KF21の前で演説する文在寅大統領(KAI(韓国航空宇宙産業)のホームページから)

韓国が開発する次世代戦闘機「KF21」の試作機が4月9日、初めて公開された。ポラメ(オオタカ)と名付けられたKF21は、インドネシアが資金分担しているが、事実上、韓国初の国産戦闘機だ。お披露目の式典に出席した文在寅大統領は「自分たちの手で作った先端超音速戦闘機を持つのは世界で8番目の快挙だ」と喜んだ。

このポラメを製作した韓国航空宇宙産業(KAI)は2015年、インドネシアなどと共同開発仮契約に署名。当時は、世界で4600機が販売された戦闘機F16より優秀で、ステルス戦闘機F35より安価な戦闘機を開発するという目標を掲げていた。

公開されたポラメは、様々な示唆を与えてくれる。外形はF35に似た形状。ただ、日本の軍事専門家によれば、部品の接合にはステルス技術が使われていない。武器を機体内部に格納するのは諦めたという一部報道もあり、ステルス機とすることは断念したようだ。ステルス機には他に、エンジンの吸気口の形状を変えたり、機体にレーダー波を吸収できる素材を塗布したりすることなどが重要になるが、韓国は現段階で、そこまでの技術革新には成功していない。日本は2016年に初飛行したステルス実証機「X2」(心神)で、ステルス技術の検証に成功している。

地上と空中の目標を同時にそれぞれ識別するためのAESAレーダーやエンジンについては、米国からの協力を得られず、欧州などのメーカーから購入した。AESAレーダーは、日本が1980年代末までに開発に成功した技術で、この点でも韓国が日本の航空技術にまだ追いついていないことがわかる。

ただ、日本の軍事専門家の1人はポラメについて「我が国が80年以上前に零戦を作った時のようなチャレンジ精神を感じる」と語る。ポラメはF22やF35といった5世代戦闘機には及ばないが、韓国が脅威と位置づける北朝鮮を圧倒できる性能を持つ。北朝鮮の主力戦闘機は、初飛行から40年以上経ったミグ23だ。わずかに保有する虎の子のミグ29も第4世代戦闘機で、ポラメには歯が立たないだろう。

また、KAIは2015年当時、韓国、インドネシア両軍などにポラメ1千機を売り、180兆ウォン(約17兆6千億円)の利益を目指すと説明していた。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が集計した2016~2020年の韓国の武器輸出は世界全体の2.7パーセントを占め、占有率の多さは米国やロシア、中国などに次ぐ世界第9位だった。先の軍事専門家は「世界で、F35を必要とするほど厳しい安全保障環境に置かれている国は多くない。多少性能が落ちても安価な戦闘機を作るという韓国の狙いは悪くない」と話す。

文=牧野愛博

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