エスティローダー・ファミリーの一員となることで、まったく新たな世界がデシエムの前に開けると、キルナーは述べている。
「今後は、エスティローダー傘下のブランドとして、ジ・オーディナリーがラ・メールと並ぶことになる」とキルナーは言う。「我々は常に、価格帯がラグジュアリーを定義するものではないことを訴えてきた」
今回の買収により、デシエムはエスティローダーの膨大なリソース、特にグローバルな流通とサプライチェーンを利用して、ブランドを成長させることが可能になる。
「引き続きジ・オーディナリーの規模を拡大していく」とキルナーは述べている。「その上で、デシエムの核心である、ブランドのインキュベーターとしての役割に立ち返りたい。当社の研究開発チームは目下、新ブランドのための処方開発に取り組んでいる」
デシエムがカルト的なビューティ企業の地位を確立するまでの道のりには、困難や、成長に伴う痛みもあった。
「エスティローダーは、我々が最も困難な状況にあったときも支援してくれた。我々の決断を信頼し続けてくれたし、そして何より、ずっと我々に愛情を注いでくれた」とキルナーは語っている。
エスティローダーが支払う10億ドルは、デシエムの市場価値22億ドルを反映した額だ。リリースによると、この10億ドルを除いたデシエムの売上高および純利益は、エスティローダーの2021年度の連結業績にほとんど影響を及ぼさないと予想される。今回の買収は、6月30日締めの四半期に完了する予定だ。
デシエムを創設したトゥルアックスは、ブランド間のシナジー効果を認めており、革新的なビューティ企業である同社にとって、エスティローダーは唯一の「安住の地」だと語っていた。
「エスティローダーは、ビジネスよりもブランドを優先し、常にファミリーであることを重視している。我々が非常に大切にしている2つの価値観だ」とキルナーは述べている。