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アマゾン創業者のジェフ・ベゾス(Getty Images)

米アマゾン・ドットコムが現地時間4月29日に発表した第1四半期の決算は、コロナ禍でオンラインの販売が好調で、大幅な増収増益となった。売上高は前年同期比44%増の1085億1800万ドル、純利益は220%増の81億700万ドルとなり、いずれも市場予想を大きく上回った。

今回のこの決算に鳥肌が立ったという、ベンチャーキャピタリストがいる。現在シンガポールに在住、東南アジアやインドに特化したVC、リブライトパートナーズで代表パートナーを務める蛯原健だ。今回のアマゾン決算の要点を伺った。

──本決算で、最も重要だった点はどこか

それは、はじめて利益においてECがクラウドを抜いたことだ。

アマゾンは、クラウドという人類で最も儲かる事業を発明し、その後を追随するマイクロソフトとGoogleとの競争に打ち克ち、トップを走り、その利益を使って世界中のEC事業を開拓してきた。

これまで、常にこの会社の利益の大半はAWS、クラウド事業によって賄われてきた。今回、利益でクラウドを抜いたECでいえば、北米ですら、本格黒字化はまだ数年前のこと。北米以外の国際部門に至っては、昨年、ようやく損益分岐点を超えたという、まだまだ先行投資フェーズだった。

それが、今回、国際部門だけで一気に1千億円を超える大幅黒字を叩きだした。売上は通期ベースで10兆円タッチ、完全に稼ぎ頭化に成功した形だ。

既に巨大な北米ですら、売上ではなく、利益において前年同期比で2.6倍という驚異的な伸びを示した。昨年の第1四半期はコロナ本格化直前だったため、この主因はひとえにコロナDX効果だと言えよう。

──そのような決算内容を、ジェフ・ベゾス氏退任発表直後に打ち出すとはすごいですね。

ここも重要なポイントだが、その決算発表において、ベゾズが開口一番言ったことはその事ではない。「私が創業来四半世紀血と汗を流し創ったEC事業の利益が退任迎える今ようやく...」というようなことは一切言わない。普通の経営者ならいかにも泣きながらそう言いそうなものだが、非凡な彼は最後まで違ったということだ。

開口一番、「我々の2人の子供がいま10歳、15歳へと育った。プライムビデオとAmazonスタジオだ。前者は1.75億人が視聴し年間1.7倍成長している。後者は今年のアカデミー賞で12ノミネートされ、2つ受賞した 」と、あくまで、最後まで過去の成果ではなく未来を語ったベゾズ。

一昨日、アップルのティム・クックによって発表された決算も凄まじかった。世界で最も巨大な企業が、まだ売上、年率1.5倍という驚異の成長を続けていたことが明らかになったからだ。

しかし、これは10年前ジョブズが亡くなって、クックにバトンを託した時点で既に概ね決まっていた未来だったと、今にしては思わざるを得ない。未だに収益源の過半は彼が最後に残した子供のiPhoneだからであり、その後、稼ぎ頭になり得るさしたる新製品が出てないからだ。

そして同じことが今、ベゾズと後任のアンディ・ジャシ―の間で起きているのだろう。そう思うと、鳥肌が立った。

構成=谷本有香

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