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2021.05.05

IPOで3兆円超の時価総額、ルーマニア発のUiPathから日本が学べること


ここ最近、SequoiaやLightspeed、Bessemer Venture Partnersがそれぞれヨーロッパにオフィスを設立し、現地のパートナーを採用していることからもこのトレンドが伺えます。同様に、TCVやTiger Global、Coatue、ICONIQなどのヘッジファンドも欧州で積極的に投資しているようです。

米国投資家にとって、欧州のスタートアップの活躍はもはや無視できず、「投資せずにいるには良すぎる」と認識されるようになったということでしょう。

日本でも同様のトレンドが進んでいますが、本来のポテンシャルと比べるとやや遅いペースです。日本のスタートアップ界でも、特にヘッジファンドなどの海外投資家が、ある程度進んだ資金調達ステージで投資するケースが増えてきています。また、起業家たちの力量や、彼らの抱く野心のスケールも、以前と比べて格段に上がっています。

このような状況から、今後は日本でも数千億円規模のIPOを果たすスタートアップがいくつも出てくるだろうと私は確信しています。

しかし、「投資せずにいるには良すぎる」と世界から思われるためには、より大きなスケールで考えなければなりません。他の市場で1兆円以上ものIPOを果たす企業が出てきている中、数千億円程度では十分とは言えません。

ここで1つ思い出してほしいのが、世界中に数多くの国がある中で、Spotifyはスウェーデン、UiPathはルーマニアで生まれているという点です。どちらも、そんなホームラン級の上場を果たす企業が生まれるとは誰も想像しなかったような場所です。現地の経済規模が小さかったため、最初からグローバル視点で考えざるを得ず、そういった意識が結果的に彼らの強みになったのでしょう。

一方で、日本の経済規模はその2つの国を合わせたよりも数倍大きいので、日本でもデカコーン企業、つまり1兆円以上の時価総額を達成するスタートアップが生まれない理由がありません。個人的な見解としては、日本のスタートアップ・エコシステムにはデカコーンを生み出すために必要なものがすでにほぼ全て揃っています。唯一足りていないのは、積極的にグローバルを追求していく野心かもしれません。

しかし、Coral Capitalはそんな野心あふれる数少ない起業家を必ず見つけ出し、彼らが描く世界的なプロダクトの実現をきっかけに、日本も「投資せずにいるには良すぎる」と世界から思われるようになる日を目指して貢献して参ります。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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