脱「会わない」。劇団ノーミーツが本当に実現したい次の勝ち筋とは

劇団ノーミーツ主宰の3人。左から、林健太郎、小御門優一郎、広屋佑規(撮影=小田駿一)

劇団ノーミーツ主宰の3人。左から、林健太郎、小御門優一郎、広屋佑規(撮影=小田駿一)

コロナ禍という「人に会えない」状態を逆手にとって、オンラインにおける表現の可能性を広げた「劇団ノーミーツ」が、4月9日で旗揚げ1周年を迎えた。
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この1年で30の短編を発表し、3回の単独長編公演を実現。Zoom演劇という新しいジャンルを切り拓き、延べ2万8千人以上の観客を動員した。

また、サンリオピューロランドとのコラボ長編公演(VIVA LA VALENTINE)や、HKT48とのコラボプロジェクト(HKT48、劇団はじめます。#劇はじ)を行い、2020年9月にはMeetsを設立。GW中の5月4日深夜24時(5日の0時)より、夜明けをテーマに一晩かけて上演する特別公演「夜が明ける」を行う。そして、現在は「リブランディング」にも着手しているという。

これまでに幾度ものツイッタートレンド入りを果たし(門外不出モラトリアム、VIVA LA VALENTINE、劇はじ)、彼らが打ち立てた「オンライン演劇」という新たなエンターテインメントの形は浸透したようにも思える。
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そんな彼らが、いまリブランディングを行おうとするのはなぜなのか。これからの1年で、実現したいことは何なのか。

劇団ノーミーツ主宰である広屋佑規(企画・プロデュース)、林健太郎(企画・プロデュース)、小御門優一郎(脚本・演出)に、彼らが考える新たな「勝ち筋」について聞いた。

劇団ノーミーツの公演は「演劇」ではない?


──立ち上げからこれまで、どのような1年でしたか。印象に残っている出来事や、大きな変化は?

林健太郎(以下、林):正直、全く予想外のことばかりでしたね。1年前、コロナで仕事が完全に止まってしまったことから、何ができるだろうって考えて、140秒の作品をつくったのが始まり。そこからあっという間に仲間が増えて、会社になって、趣味が仕事になって、たくさんの賞もいただけて。こんな展開になるとは思っていませんでした。

小御門優一郎(以下、小御門):道なき道を自分たちで舗装しながらなんとか進んできたような印象ですね。


脚本・演出を担当する小御門優一郎。1993年生まれ。慶應大学在学中より劇団「21g座」を主宰。劇団ノーミーツ第3回長編公演『それでも笑えれば』の脚本は岸田國士戯曲賞にノミネートされた

僕が一番驚いたのは、第3回長編公演の「それでも笑えれば」の脚本が、岸田國士戯曲賞の最終選考まで残ったこと。いまの演劇界の大物と言われる先生たちからいただいた“忌憚ない講評”がすごく面白かった。

審査員のほとんどが「オンライン演劇」は「演劇とは言わない」といった厳しいリアクションだったんです。演劇は箱(劇場)の中でやるものだという信念をもつ方々から見ると、僕らのやっていることは、演劇そのものにはならないのだと……。

広屋佑規(以下、広屋):たしかに、僕たち自身も、自分たちがやっていることを形容しづらい部分はあるよね。なかなかいい言葉が見つからなくて「オンライン演劇」と名乗ってはいるものの、どうもしっくりきていない部分もある。

小御門:僕自身も純粋な「演劇」だとは思っていないかもしれない。「演劇性」はあるけれど、「演劇」そのものではないのかなって。
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構成=高松孟晋 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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