──1年前と同じように、再びの緊急事態宣言が発出されています。これからも予想できない変化が起こるかもしれないですが、これからの展望・勝ち筋とは?
林: オンライン・オフラインとか、作り手と演者とか、そういった垣根を飛び越えてエンターテイメントのあらゆる可能性を模索できるのが、ノーミーツらしさだと思っています。今後は、誰もが知っているオリジナルの代表作をつくれるかどうかが、これからまたひとつ飛躍できるかどうかの鍵になるのかなと。
広屋:「インディペンデント性」と「スピード感」も、劇団ノーミーツの強みの1つだと思うんです。そもそもの旗揚げが、コロナ禍という逆境の中で何ができるかって集まった集団ですから。
もしかしたらこの先「オンライン」っていうフォーマットが全く成り立たなくなることがあるかもしれない。そうなった時には、それを捨てて新しいフォーマットを1からつくるくらいの気概が、僕らにはあると確信しています。
企画・プロデュースを担当する広屋佑規。1991年生まれ。Meetsの代表取締役、没入型ライブエンタメカンパニーOut Of Theater代表。レストランや都市空間を活用したエンタメ作品のプロデュースも
ノーミーツは全公演が黒字かと言われるとそうではないのですが、トータルで見ると黒字です。オンライン演劇って「会場費がかからない」とか、「会場のキャパシティによるお客さんの上限がない」とかで、ビジネス的にも、演劇とかライブエンタメにとって革命的であると思って挑戦をしてみたんですけど、実際ちょっとした劇場を借りるくらい機材費がかかることがわかってきて(笑)。
我々はまだ2年目のチームですけど、やりたいことを多くの人に届けて、それを続けていくためにはやっぱり稼がないといけないんですよね。
ただそれでも、1年前につくったZoom演劇みたいに、「今だ!」というタイミングで、自分たちの「好き」を信じた作品づくりを続けることが、一番大事だと思っています。その柔軟さを受け止められるシステムをMeetsという会社で整え、スピード感を持ってトライ&エラーを回し続ける。そういった「令和での新たな創作集団の形」を見つけることが、これからの勝ち筋につながるのではないかと。そうすれば、5年後でも面白がってもらえて、生き残れるんじゃないかと思っています。